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(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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ラッセル『結婚論』第九章 人生における恋愛の位置 n.2

2018/06/06

 第九章 人生における恋愛の位置 n.2: 恋愛と一般的な愛情の違い

 恋愛(Love)は,この言葉を適切に(正しく)使用した場合は,男女間の任意
の,あるいはすべての関係(注:いわゆる「愛情」)を指すのではなく,少な
からぬ情緒を含み,肉体的であると同時に心理的でもある関係のみを意味する
(注:従って,特別な意味を持たせていない限り,通常は「精神的な慈愛」や
人類愛などは含まれない)。恋愛は,いかなる程度の激しさにも高まる可能性
がある。『トリスタンとイゾルデ』(注:『ロミオとジュリエット』のモデル
になった悲しい恋の物語)の中に表現されているような情緒は,無数の男女の
経験と一致している(同じである)。恋愛の情緒を芸術的に表現する能力は稀
であるが,情緒そのもの(の存在)は,少なくともヨーロッパにおいては稀で
はない。この情緒は,ある社会では,他の社会よりもずっと普通である(一般
的な現象である)。これは,当の国民(民衆)の性格によるのではなく,その
慣習と制度によっている,と私は考える。中国においては,この情緒は稀であ
り,歴史上,邪悪な妾(側室)にまどわされた悪しき皇帝の特徴として現われ
る。つまり,伝統的な中国文化は,強い情緒にはおしなべて反対し,人はいか
なる状況にあっても理性の支配を維持するべきだと考えた。この点で
(In this),伝統的な中国文化は,十八世紀の初頭に似ていた。過去にロマン
主義,フランス革命,世界大戦を経験してきた我々は,人生(人間生活)にお
ける理性の役割は,アン女王の治世に期待されていたほど支配的なものではな
い,ということに気づいている。さらに,理性そのものが,精神分析学の学説
を作り出したことで反逆者になってしまった(注:人間はいかに無意識に支配
されているかということを明らかにした)。

 現代生活の中には,理性外の主要な活動が三つある。宗教と,戦争と,恋愛
である。これらはすべて理性外のものであるが,恋愛は,反理性的ではない。
つまり,理性的な人は理性的に恋愛の存在を楽しむことが可能である。前の何
章かで考察したいくつかの原因により,現代世界には,宗教と恋愛との間に,
ある種の反目が見られる。私は,この反目が避けられないものとは思わない。
それは,キリスト教が,他のいくつかの宗教とは異なり,禁欲主義に根ざして
いるという事実のせいであるにすぎない。

Chapter IX: The place of love in human life, n.2

Love, when the word is properly used, does not denote any and every 
relation between the sexes, but only one involving considerable 
emotion, and a relation which is psychological as well as physical. 
It may reach any degree of intensity. Such emotions as are expressed 
in Tristan und lsolde are in accordance with the experience of 
countless men and women. The power of giving artistic expression to 
the emotion of love is rare, but the emotion itself, at least in 
Europe, is not. It is much commoner in some societies than in others,
 and this depends, I think, not upon the nature of the people 
concerned but upon their conventions and institutions. In China it is
 rare, and appears in history as a characteristic of bad emperors who
 are misled by wicked concubines: traditional Chinese culture objected
 to all strong emotions, and considered that a man should in all 
circumstances preserve the empire of reason. In this it resembled the
 early eighteenth century. We, who have behind us the Romantic 
Movement, the French Revolution, and the Great War, are conscious that
 the part of reason in human life is not so dominant as was hoped in 
the reign of Queen Anne. And reason itself has turned traitor in 
creating the doctrine of psychoanalysis. The three main extra-rational
 activities in modern life are religion, war, and love; all these are
 extra-rational, but love is not anti-rational, that is to say, a 
reasonable man may reasonably rejoice in its existence. Owing to the
 causes that we have considered in earlier chapters, there is in the
 modern world a certain antagonism between religion and love. I do
 not think this antagonism is unavoidable; it is due only to the fact
 that the Christian religion, unlike some others, is rooted in 
asceticism.
 出典: Marriage and Morals, 1929.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/MM09-020.HTM

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創刊日:2014-12-19  
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