名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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ラッセル『結婚論』第八章 性知識に関するタブー, n.5

2018/05/16

 第八章 性知識に関するタブー, n.5: 親の道徳的・知的権威失墜の原因

 こうした知的な損害(ダメージ)に加えて,大部分の場合,極めて重大な道徳
的な損害(ダメージ)がある。フロイトが最初に明らかにしたように,また,子
供と親密にしている人なら誰でもすぐに気がつくように,コウノトリやグーズ
ベリーの藪の寓話は,通常,信じられていない。子供は,こうして,両親は自
分によく嘘をつきがちであるという結論に達する。もしも,ひとつのことで嘘
をつくのであれば,他のことでも嘘をつくかもしれない(可能性がある)。そ
うして,両親の道徳的・知的な権威は失墜する(破壊される)。

 さらに,性に関わる場合に両親が嘘をつく以上,性に関する話題では自分た
ちもまた嘘をついてもよいだろう,と子供たちは結論する。子供たちは,性に
ついて語りあい,そうして,隠れて自慰(マスターベーシーン)を非常にしが
ちである。このようにして,子供たちは,嘘を言い,隠しごとをする習慣を身
につけていくとともに,両親に(隠れて自慰をしないようにと)脅されるため
に,彼らの生活は恐怖心によって曇らせられる。両親や保母が,自慰の悪い結
果について脅かすことが,子供時代ばかりではなく,成人してからも,精神障
害の原因になることが非常に多いことは,精神分析によって明らかにされてき
ている。

 それゆえ,若い人たちに対する因習的な性の扱い方の結果,人びとを愚かに
し,嘘つきで,臆病者にし,さらに,かなりのパーセンテージの人を,正常の
境界を越えて,精神異常,あるいは,それに似たものへと駆り立てる(ものと
なる)。

Chapter VIII: The Taboo on sex knowledge, n.5

In addition to this intellectual damage, there is in most cases a very
 grave moral damage. As Freud first showed, and as everyone intimate
 with children soon discovers, the fables about the stork and the 
gooseberry-bush are usually disbelieved. The child thus comes to the
 conclusion that parents are apt to lie to him. If they lie in one 
matter, they may lie in another, so that their moral and intellectual
 authority is destroyed. Moreover, since parents lie where sex is 
concerned, the children conclude that they also may lie on such 
topics. They talk with each other about them, and very likely they 
practise masturbation in secret. In this way they learn to acquire 
habits of deceit and concealment, while, owing to their parents' 
threats, their lives become clouded with fear. The threats of parents
 and nurses as to the bad consequences of masturbation have been shown
 by psycho-analysis to be a very frequent cause of nervous disorders,
 not only in childhood but in adult life also.
The effects of the conventional treatment of sex in dealing with the
 young are therefore to make people stupid, deceitful, and timorous,
 and to drive a not inconsiderable percentage over the border-line 
into insanity or something like it.
 出典: Marriage and Morals, 1929.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/MM08-070.HTM

 <寸言>
 子どもはなぜ嘘をついてもあやまらないことが多いのか? それは親も時々
嘘をすつことを知っており,子どもにだけ「嘘をつくな」というのはおかしい
と思っていることも一つの原因。

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創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
発行周期:日刊  
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