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(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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ラッセル『結婚論』第八章 性知識に関するタブー, n.4

2018/05/15

 第八章 性知識に関するタブー, n.4:好奇心は成長の糧 

 こうした(以上のような)態度が性の領域に及ぼす影響を考察する前に,それ
が他の(いくつかの)方面にもたらす結果について,二,三,述べたい。

 私見によれば,第一の,また,最も深刻な結果は,若い人たちの科学的な好
奇心を邪魔することである。知的な子供は世界のあらゆることを知りたがる。
彼らは,汽車や自動車や飛行機について質問をする。なぜ雨が降るのか,また
,どのようにして赤ん坊が生まれるかについて質問する。こうした好奇心は,
子供にとって(は),すべてまったく同じ次元(レベル)のものである。子供は
,パブロフの言うところの「それは何?」という条件反射に従っているにすぎ
ないのであり,その条件反射(的な好奇心)こそ,あらゆる科学的な知識の源
である。知識欲を追求している子供が,この欲望がある方面に向けられると悪
いとされるのを知ると,科学的な好奇心の衝動はすべてが抑制(阻害/点検)さ
れる。
 子供は,最初,どういう種類の好奇心が許され,どういう種頬の好奇心が認
められないのか(許されないのか)理解しない(わからない)。どのようにし
て赤ん坊が生まれるのかを聞くのが悪いのであれば,たぶん(for aught the 
child can tell),どのようにして飛行機が製造されるのかを聞くことも,同
様に悪いのかもしれない。子供は,いずれにしても,科学的な好奇心は危険な
衝動であり,チェックなしのまま(野放しのまま)ではいけない,という結論
へと追い立てられる。何かを知ろうとする前に,これは道徳的なもの(知識)
なのか,邪悪なもの(知識)なのか,と心配して問わなければならない。そし
て,性的な好奇心は,萎縮(性欲減退)してしまうまでは一般的に非常に強い
ものであるので,子供は,自分が欲する知識は悪いものであり,それに反して
,道徳的な唯一の知識は,いかなる人間も決して欲しないいもの,たとえば,
九九表のようなもの,のみである,という結論に導かれる。

 知識の追求は,すべての健康な子供の自発的な衝動の一つであるが,このよ
うにして,損なわれ,そうして,子供たちは人為的に愚かにさせられるのであ
る。女性は,(現状では)平均して男性よりも愚かであることは否めないと思
われるが,それは大部分,女性が若いころに一段と効果的に,性知識の追求を
無理にやめさせられているという事実による,と私は信じている。

Chapter VIII: The Taboo on sex knowledge, n.4

Before considering the effect of this attitude in the realm of sex, 
I should like to say a few words about its consequences in other 
directions. The first and gravest consequence, in my opinion, is the
 hampering of scientific curiosity in the young. Intelligent children
 wish to know about everything in the world ; they ask questions about
 trains and motor-cars and aeroplanes, about what makes rain and about
 what makes babies. All these curiosities are to the child on exactly
 the same level ; he is merely following what pavlov calls the 
"What-is-it?" reflex, which is the source of all scientific knowledge.
 When the child in pursuit of the desire for knowledge learns that 
this desire in certain directions is considered wicked, his whole 
impulse of scientific curiosity is checked. He does not at first 
understand what kinds of curiosity are permissible and what kinds are
 not : if it is wicked to ask how babies are made, it may, for aught
 the child can tell, be equally wicked to ask how aeroplanes are made.
 In any case he is driven to the conclusion that scientific curiosity
is a dangerous impulse, which must not be allowed to remain unchecked.
 Before seeking to know anything, one must anxiously inquire whether 
this is a virtuous or a vicious kind of knowledge. And since sexual 
curiosity is generally very strong until it hast become atrophied, 
the child is led to the conclusion that knowledge which he desires is
 wicked, while the only virtuous knowledge is such as no human being
 could possibly desire--for example, the multiplication table. 
The pursuit of knowledge, which is one of the spontaneous impulses of
 all healthy children, is thus destroyed, and children are rendered 
artificially stupid. I do not think it can be denied that women are on
 the average stupider than men, and I believe this to be largely due 
to the fact that in youth they are more effectively choked off from 
the pursuit of sex knowledge.
 出典: Marriage and Morals, 1929.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/MM08-060.HTM

 <寸言>
 本書は1929年に出版されたもの。戦前は英米でさえこんなもの。

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創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
発行周期:日刊  
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