名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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ラッセル『結婚論』第八章 性知識に関するタブー, n.3

2018/05/14

 第八章 性知識に関するタブー, n.3: 

 伝統的な子供に関する行動方針(course with children)は,両親と教師が
できるだけ子供を無知にしておくことであった。子供たちは,両親の裸をまっ
たく見たことがなかった。また幼児期を過ぎると(自宅に部屋の余裕が十分に
あるかぎり),異性の兄弟姉妹の裸も見なかった。子供たちは,自分の性器に
絶対にさわってはいけないし,性器について話をしてもいけないと言われた。
(そうして)性に関する質問をすると,その反応はいつも,ショックを受けて
いるような語調で「しっ,しっ」という言葉であった。赤ん坊は,コウノトリ
が運んでくるとか,グーズベリーのやぶの下から掘り出すのだとか,教えられ
た。遅かれ早かれ,子供たちは,こっそりと語る他の子供から,通例,多少と
もねじ曲げた形で,(性の)事実を学び(学ぶことになり),両親の教え(話
題にしてはいけないもの)の結果として,子供たちは,性の事実を「不潔なも
の」と見なした。子供たちは,両親は互いに不潔な行いをしており,両親は自
らそのことを恥ずかしく思っていると推測した。両親がそのことを隠そうと大
変苦労しているからである。

 子供たちは,指導と教育を求めてきた人たちに組織的に騙されてきたことも
知った。両親や結婚や異性に対する子供たちの態度は,このようにして,取り
返しのつかないほど(irrevocably)毒されてしまった。因習的な躾を受けた
男女で,性や結婚についてちゃんとした感情を抱ける者はほとんどいない。彼
らは騙すことや嘘をつくことは両親や教師が美徳と考えていること,性的な関
係は結婚内での場合でさえ多少とも嫌なものであること,また,(人間という)
種を繁殖する際には,男性は自らの獣性に屈しており,他方女性は苦痛に満ち
た義務に従っていること,を教育から学んできた。こうした態度は,結婚を男
女の双方にとって不満足なものにし,本能的な満足の欠如は,道徳の仮面をか
ぶった残忍さに変わっていった(のである)。

Chapter VIII: The Taboo on sex knowledge, n.3

The traditional course with children was to keep them in as great a 
degree of ignorance as parents and teachers could achieve. They never
 saw their parents naked, and after a very early age (provided housing
 accommodation was sufficient) they did not see their brothers or 
sisters of the opposite sex naked. They were told never to touch their
 sexual organs or to speak about them ; all questions concerning sex
 were met by the word "Hush, hush" in a shocked tone. They were 
informed that children were brought by the stork or dug up under a 
gooseberry-bush. Sooner or later they learnt the facts, usually in a 
more or less garbled form, from other children, who related them 
secretly, and, as a result of parental teaching, regarded them as 
"dirty". The children inferred that their father and mother behaved to
each other in a way which was nasty and of which they 'themselves were
 ashamed, since they took so much trouble to conceal it. They learnt 
also that they had been systematically deceived by those to whom they 
had looked for guidance and instruction. Their attitude towards their 
parents, towards marriage, and towards the opposite sex was thus 
irrevocably poisoned. Very few men or women who have had a 
conventional upbringing have learnt to feel decently about sex and 
marriage. Their education has taught them that deceitfulness and lying
are considered virtues by parents and teachers: that sexual relations,
 even within marriage, are more or less disgusting, and that in 
propagating the species men are yielding to their animal nature while
 women are submitting to a painful duty. This attitude has made 
marriage unsatisfying both to men and to women, and the lack of 
instinctive satisfaction has turned to cruelty masquerading as 
morality.
 出典: Marriage and Morals, 1929.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/MM08-030.HTM

 <寸言>
 本書は1929年に出版されたもの。戦前は英米でさえこんなもの。

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創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
発行周期:日刊  
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