名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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ラッセル『結婚論』第七章 女性の解放, n.5

2018/04/27

 第七章 女性の解放 n.5; フェミニズム運動

 この運動全体は,いまだ,ごく初期の段階にあり,今後どのように発展して
いくか予言することは不可能である。フェミニズム運動の支持者や実践家は,
今のところ,大部分非常に若い。彼らは,有力者や重要人物の間に擁護者
(champions)をほとんど持っていない。警察,法律,教会(キリスト教会)及び
彼らの両親といった権力の所有者たち(repositories of power 権力の宝庫)
は,そういった事実(フェミニズム運動をやっていること)を知るようになる
と常に彼ら(注:若いフェミニストたち)に反対する。しかし,一般的に,若
い人たちは,自分たちが苦しみを与えそうな人びとにそういう事実を隠してお
くだけの親切心を持ち合わせている。(米国の)リンゼー判事のように,事実
を公然と発表する著作家(物書き)は,年寄りたちから,若い人たちを誹謗中
傷していると考えられるが,当の若い人たちは,自分たちが誹謗中傷されてい
るという意識を持っていない。

 この種の状況は,もちろん,非常に不安定である。それは,二つの事柄のう
ちどちらが先に起こるかという問題である。(即ち),老人たちがその事実に
気づいて,若い人たちから新しく獲得した自由を取り上げる(奪い取る)仕事
にとりかかるか,あるいは,若い人たちが成長していって,威厳のあるまた重
要な(有力な)地位をみずから獲得することで,新しい道徳に権威ある認可を
あたえることが可能になるのか,である。おそらくは,いくつかの国々ではこ
れらの成り行きの一つが見られ,ほかの国々ではもう一つの成り行きが見られ
るのだと思われる。

 イタリア(注:カトリックが優勢な国)においては,他の万事がそうである
ように,不道徳が政府の特権であるところにおいては,「美徳」を強制しよう
とする企てが精力的になされている。ロシアにおいては,事情はまさに正反対
である。ロシア政府は,新しい道徳(性道徳)の味方をしているからである。
ドイツの新教地域では,自由が勝つものと予想される一方,(ドイツの)カト
リック地域では,(成り行きは)ずっと疑わしい。フランスにおいては,由緒あ
るフランス流の伝統(慣習)を捨て去る(振り払う)見込みはまずなさそうであ
る。その伝統では,不道徳には,一定の明確に黙認される形式があり,それ
(不道徳行為)はそこから(その形式から)はみ出してはならないことになっ
ている。イギリスやアメリカにおいてどういうことが起こるか,あえて予言す
るつもりはない。

Chapter VII: The Liberation of women, n.5

This whole movement is as yet in a very early phase, and it is 
impossible to say how it will develop. Its adherents and practitioners
 as yet are mostly quite young. They have very few champions among 
persons of weight and importance. The police, the law, the Church and
 their parents are against them whenever the facts come to the 
knowledge of these repositories of power, but in general the young 
have the kindness to conceal the facts from those to whom they would 
cause pain. Writers who, like Judge Lindsey, proclaim the facts are 
thought by the old to be libelling the young, though the young remain
 unconscious of being libelled.

A situation of this sort is, of course, very unstable. It is a 
question which of two things will happen first: either the old will
 become aware of  the facts and will set to work to deprive the young
 of their new-won freedom, or the young, growing up, will themselves 
acquire positions of dignity and importance, which will make it 
possible to give the sanction of authority to the new morality. It is
 to be presumed that in some countries we shall see one of these 
issues, and in others, the other. In Italy, where immorality, like
 everything else, is a prerogative of the Government, a vigorous 
attempt is being made to enforce "virtue". In Russia the exact 
opposite is the case, since the Government is on the side of the new
 morality. In the Protestant parts of Germany freedom may be expected
 to win, while in the Catholic parts the issue is much more doubtful.
 France is hardly likely to be shaken out of the time-honoured French
 convention in which immorality has certain definitely tolerated forms
outside which it must not go. What will happen in England and America,
 I do not venture to prophesy.
 出典: Marriage and Morals, 1929.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/MM07-050.HTM
          :http://russell-j.com/beginner/MM07-060.HTM

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