名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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ラッセル『結婚論』第七章 女性の解放, n.2

2018/04/24

 第七章 女性の解放 n.2; 戦争協力に対するご褒美?

 この突然の変化の原因は,私見では(思うに),二つの面がある。一方では
(一面では),民主主義理論の直接的な影響であり,それは女性たちの要求に
対して論理的な回答を見つけることを不可能にした。他方では(多面では),
継続的にますます多くの女性が家庭の外で生活費を稼ぐ仕事に従事し,日々の
生活の快適さのために父親や夫の愛顧(お情け)に頼ることをしなくなった,
という事実があった。この状況は,もちろん,大戦中(第一次世界大戦中)に
絶頂に達した。(第一次大戦中)通常は男性がやっていた仕事の大部分を女性
が引き受けなければならなかった(からである)。戦前,女性に投票権(選挙
権)を与えることに反対して主張された議論の中の一つは,女性は平和主義者
になりがちだ(注:つまり,戦争の時に戦わない)というものであった。大戦
中,女性は,この非難に対して大々的に反駁してみせた。そこで,血なまぐさ
い仕事を分担したご褒美として投票権が女性に与えられたのである(注:半分
皮肉)。女性は政治の倫理的格調を高めるはずだと想像していた理想主義的な
先駆者にとって,こういう結果は期待はずれのものであったかもしれない。し
かし,闘いながら追い求めてきたものを,自分の理想を破壊する形で,手に入
れる(自分の理想を破壊する形でした手に入れられない)のは理想主義者の運
命であるように思われる。

 女性の(諸)権利は,当然のこと,事実において,女性が道徳的にあるいは何
かほかの面で男性よりもすぐれているという信念に基づくものではなかった。
女性の権利は,もっぱら,女性の人間としての権利に,あるいは,むしろ民主
主義(注:誰もが平等な権利を持つという説)を支持する一般的な議論に基づ
いていた(のである)。しかし,抑圧された階級や国民が,自分たちの権利を
主張するときに常に起こることであるが,(女性の権利の)主唱者たちは,女
性には特別な長所があると主張して,一般的な議論を強化しようとした。そう
して,この長所は,一般に,風紀(moral order 道徳敵秩序)に属するものと
して表現されたのである。 

Chapter VII: The Liberation of women, n.2

The causes of this sudden change are, I think, twofold : on the one 
hand there was the direct influence of democratic theory, which made 
it impossible to find any logical answer to the demands of women; on 
the other hand there was the fact that a continually increasing number
 of women were engaged in making their own living outside the home, 
and did not depend for the comfort of their daily lives upon the 
favour of fathers or husbands. This situation, of course, reached its
 height during the war, when a very large part of the work usually 
performed by men had to be undertaken by women. Before the war one of
 the objections commonly urged against votes for women was that women
 would tend to be pacifists. During the war they gave a large-scale
 refutation of this charge, and the vote was given to them for their
 share in the bloody work. To the idealistic pioneers, who had 
imagined that women were going to raise the moral tone of politics,
 this issue may have been disappointing, but it seems to be the fate
 of idealists to obtain what they have struggled for in a form which
 destroys their ideals. The rights of women did not, of course, in 
fact depend upon any belief that women were morally or in any other
way superior to men; they depended solely upon their rights as human
 beings, or rather upon the general argument in favour of democracy.
 But as always happens when an oppressed class or nation is claiming
 its rights, advocates sought to strengthen the general argument by 
the contention that women had peculiar merits, and these merits were
 generally represented as belonging to the moral order.
 出典: Marriage and Morals, 1929.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/MM07-020.HTM

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創刊日:2014-12-19  
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