名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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ラッセル『結婚論』第六章 ロマンティックな恋愛 n.1

2018/04/06

 第六章 ロマンティックな恋愛 n.1:野蛮な男女関係

 キリスト教と野蛮人(注:ゲルマンの異教徒など)の勝利とともに,男と女
の関係は,古代世界では何世紀にもわたって知られていなかったほどの野蛮さ
(獣性)に低下した。古代世界は邪悪ではあったが獣的ではなかった。(ヨー
ロッパの)暗黒時代においては,宗教と野蛮が結びついて,人生の性的側面の
地位を低下させた(品位を低下させた)。結婚生活においては,妻にはなんの
権利もなかった。結婚生活の外では,いっさいが罪であったので,文明化され
ていない男の自然のままの獣性を抑えるための目標(object 目的)がなかっ
た。中世における不道徳は,広く行きわたり,嫌悪をもよおすものであった。
司教は,自分の娘とおおっぴらに罪の生活を送り,大司教は,お気に入りの若
者(男性)を近くの司教管区(の司教職)に昇進させた。(注:リー『中世にお
ける宗教裁判史』第一巻,pp.9,14/男色のことを言っている。)
 聖職者の独身に対する信念(独身が善いという考え)は,しだいに強くなっ
てはいたが,実践が教訓に追いつけなかった。教皇グレゴリウス七世は,司祭
たちに内妻(妾)と手を切らせようと大変努力したが,後年のアベラールの時
代になっても,彼は(アベラールが)エロイーズと結婚することは醜聞的ではあ
るが,不可能ではない,と考えていたことを見出している(知っている)。聖
職者の独身制が厳格に強制されたのは,ようや13世紀の末頃になってからのこ
とである。
 もちろん,聖職者は相変らず,女性と不倫の関係を続けていた。もっとも,
聖職者は,そういう関係に,品位も美も添えることはできなかった。聖職者は
みずからが,そういう関係を不道徳で不純だと考えていたからだ。また,キリ
スト教会も,性に対して禁欲的な見方をしていたために,恋愛の概念を美化す
ることは何ひとつできなかった。これをするのは,当然,俗人の仕事となっ
た。

Chapter V Christian Ethics

With the victory of Christianity and the barbarians, the relations of 
men and women sank to a pitch of brutality which had been unknown in 
the ancient world for many centuries. The ancient world was vicious,
 but not brutal. In the Dark Ages, religion and barbarism combined to
 degrade the sexual side of life. In marriage, the wife had no rights;
 outside marriage, since all was sin, there was no object in curbing 
the natural beastliness of the uncivilized male. The immorality of the
 Middle Ages was widespread and disgusting ; bishops lived in open sin
 with their own daughters, and archbishops promoted their male
 favourites to neighbouring sees. (note: Lea, History of the 
Inquisition in the Middle Ages, vol. i, pp. 9, 14) There was a growing
 belief in the celibacy of the clergy, but practice did not keep pace
with precept. Pope Gregory VII made immense exertions to cause priests
 to put away their concubines, yet so late as the time of Abelard we 
find him regarding it as possible, though scandalous, for him to marry
 Heloise. It was only towards the end of the thirteenth century that 
the celibacy of the clergy was rigidly enforced. The clergy, of 
course, continued to have illicit relations with women, though they
 could not give any dignity or beauty to these relations owing to the
 fact that they themselves considered them immoral and impure. Nor 
could the Church, in view of its ascetic outlook on sex, do anything
 whatever to beautify the conception of love. To do this was 
necessarily the work of the laity. 
 出典: Marriage and Morals, 1929.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/MM06-010.HTM

 <寸言>
 女子校や男子校においては,同性に対する恋愛感情が起こりやすいが、原則
女人禁制の教会や修道院においても、同性愛や男色がめずらしいことではなか
った。
 古今東西、権力者の間においても同性愛や男色はめずらしいことではなく、
テレビの大河ドラマ(時代物)でも、お小姓などが権力者の男色の相手として
登場するのを目にする。

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創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
発行周期:日刊  
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