名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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 ラッセル『結婚論』第四章「男根崇拝,禁欲主義および罪」n.6

2018/03/19

 第四章 男根崇拝,禁欲主義および罪 n.6:性的放縦と反動としての禁欲主義

 性的疲労は文明によってもたらされた現象である。性的疲労は,動物の間で
はまったく知られていないにちがいないであろうし,また,未開人の間でも非
常にまれであるにちがいない。一夫一婦制の結婚のもとでは,性的疲労は,ご
く軽い程度の場合を除いて,起こりそうもない。大部分の男性の場合,生理的
過度に陥るためには,目新しさ(新しい刺激)が必要になるからである。また
,女性が性交を許すこと(注:one's favors; favours 情交の同意)を自由に拒
絶できるような場合にも,性的疲労は起こりそうもない。なぜなら,そういう
場合は,女性は,動物のメスのように,性行為のたびに,事前に求愛を要求し
,男性の情熱が十分にかき立てられたと感じないうちは性交を許さないからで
ある。

 こういった純粋に本能的な感情と行動は,文明の(発達の)せいでまれになっ
てしまっている。それをなくするのに最も大きく影響したのは,経済的な要因
である。結婚した女性も売春婦(prostitutes)も同様に,自分の性的魅力に
よって生計を立てており,それゆえ,自分自身の本能に促された場合に限って
応じる,というわけにいかないのである。このために,性的疲労を防ぐ天然の
安全弁とも言うべき,求愛の果たしていた役割が大幅に減少してしまった。そ
の結果,かなり厳格な倫理によって抑制されない男性は,性交に過度にふける
ことになりやすい。つまり,これは,ついには,疲労と嫌悪の感情を生じさせ
る。そしてこの感情は,自然に禁欲主義的な確信につながっていくのである。

Chapter IV Phallic Worship, Asceticism and Sin, n.6

Sexual fatigue is a phenomenon introduced by civilization; it must be
 quite unknown among animals and very rare among uncivilized men. In a
 monogamic marriage it is unlikely to occur except in a very small 
degree, since the stimulus of novelty is required with most men to 
lead them to physiological excess. It is also unlikely to occur when
women are free to refuse their favours, for, in that case, like female
 animals, they will demand courtship before each act of intercourse, 
and will not yield their favours until they feel that a man's passions
 are sufficiently stimulated. This purely instinctive feeling and 
behaviour has been rendered rare by civilization. What has done most
 to eliminate it is the economic factor. Married women and prostitutes
 alike make their living by means of their sexual charms, and do not,
 therefore, only yield when their own instinct prompts them to do so.
 This has greatly diminished the part played by courtship, which is 
nature's safeguard against sexual fatigue. Consequently men who are 
not restrained by a fairly rigid ethic are apt to indulge to excess; 
this produces in the end a feeling of weariness and disgust, which 
leads naturally to ascetic convictions.
 出典: Marriage and Morals, 1929.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/MM04-060.HTM

 <寸言>
 イソップの「酸っぱい葡萄」としての禁欲主義ではな、性的放縦の後の禁欲
主義がなぜ生まれるかがよくわかる。
 若い時熱心な共産主義者であった読売新聞社主の渡邉や経済評論家の長谷川
慶太郎が、年をとってから徹底した反共主義者かつ保守主義者になった心理を
も同様と思われる。

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創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
発行周期:日刊  
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