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(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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 ラッセル『結婚論』第四章「男根崇拝,禁欲主義および罪」n.5

2018/03/17

 第四章 男根崇拝,禁欲主義および罪 n.5

 最初に断わっておかなければならないが,この種の態度の原因を信念に求め
るのは無益である。この種の信念は,まず第一に,気分によって引き起こされ
るにちがいない。確かに,人たたびそれらの信念が生じた場合は,気分を −
あるいは,少なくともその気分に応じた行為を− 永続化するかもしれない。
しかし,この種の信念が性を否定する態度の根本原因になるなどということは
,まずありそうにもない。そのような態度の主要な二つの原因は,私に言わせ
れば嫉妬と性的疲労である。

 嫉妬が生じた場合は,たとえほんのかすかなものであっても,性行為へと導
く欲望(欲求)は厭わしく思われてくる。純粋に本能的な男は,もしも,自分
の思いどおりになるなら,全女性に自分(彼)を,また自分(彼)だけを愛さ
せたいと思うであろう。女性が他の男を少しでも愛そうものなら,それは道徳
的非難へと変化する可能性のある強い感情(emotions)を彼の心の中に容易に
かき立てる。その女性が自分の妻の場合は特にそうである。たとえば,シェイ
クスピアを読むと,彼の描く男たちは,自分の妻が(男性に対して)情熱的で
あることを望まないことがわかる。シェイクスピア「によれば」,理想の女性
は,義務感から夫の抱擁は甘受する(甘んじて受ける)ものの,愛人を持とう
なんて思わない女性である。なぜなら,性は本来,彼女にとって嫌なものであ
り,道徳律が耐え忍ぶことを命ずるがゆえに耐え忍んでいるにすぎないからで
ある。

 本能的な夫は,妻が自分を裏切ったことを見つけると,妻とその愛人両方に
対して嫌悪感でいっぱいになり,性は全て獣的である(けがらわしい)と結論
しがちになる。性交をやりすぎるか,あるいは老齢のために性的不能になって
いる場合には,特にそうである。大部分の社会では,年寄りは若者よりも大き
な影響力を持っているので,性的な事柄に関する公式の正論は,当然,性急な
(短気な)若者の意見ではない(年寄りの意見が社会における「正論」となっ
てしまう)。

Chapter IV Phallic Worship, Asceticism and Sin, n.5

It should be said to begin with that it is useless to look to beliefs 
as the source of this kind of attitude. Beliefs of this sort must be 
in the first place inspired by a mood; it is true that when once they
 exist they may perpetuate the mood, or at any rate actions in 
accordance with the mood, but it is hardly likely that they will be 
the prime causes of an anti-sexual attitude. The two main causes of 
such an attitude are, I should say, jealousy and sexual fatigue. 
Wherever jealousy is aroused, even if it be only faintly, the sexual 
act appears to us disgusting, and the appetite which leads to it 
loathsome. The purely instinctive man, if he could have his way, would
 have all women love him and him only; any love which they may give to
 other men inspires in him emotions which may easily pass into moral 
condemnation. Especially is this the case when the woman is his wife. 
One finds in Shakespeare, for example, that his men do not desire 
their wives to be passionate. The ideal woman, according to 
Shakespeare, is one who submits to her husband's embraces from a 
sense of duty, but would not think of having a lover, since sex in 
itself is disagreeable to her and is only endured because the moral 
law commands that it should be. The instinctive husband, when he finds
 that his wife has betrayed him, is filled with disgust against both 
her and her lover, and is apt to conclude that all sex is beastly. 
Especially will this be the case if he has become impotent through 
excess or old age. Since old men have in most societies more weight 
than the young, it is natural that the official and correct opinion on
 sexual matters should be not that of hot-headed youth.
 出典: Marriage and Morals, 1929.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/MM04-050.HTM

 <寸言>
 嫉妬の種はつきまじ。あどけない幼児から高潔を売りにする高級官僚や政治
家めで、普遍的な現象となっている。嫉妬を教義にとれば異性に対するものと
なり、抗議にとれば、競争相手の出世など、ありとあらゆるタイプがある。

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創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
発行周期:日刊  
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