名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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ラッセル『結婚論』第四章「男根崇拝,禁欲主義および罪」n.2:月崇拝

2018/03/14

 第四章 男根崇拝,禁欲主義および罪 n.2

 世界の多くの地域は,月(男性とみなされている)が全ての子供の真の父親
であると考えられてきた*。
 (注:マオリ族の国では,次のように言われている。「月は,全女性の永遠
の夫,あるいは本当の夫である。我々の祖先や長老の理解(知識)によれば,
男女の結婚(man and wife 夫婦となるための結婚)はまったく重要な事柄で
はない(a matter of no momen))。月こそ,其の夫である。」 類似した考
え(物の見方)は,世界の大部分の地域に存在してきた。これは,明らかに,
父性が知られなかった段階から父性の重要性が完全に認められる(段階)まで
の過渡期を示すものである。ブリフォールト,前掲書,p.37所載)

 この見解は,もちろん,月崇拝と結びついている。今取り上げている話題と
直接の関係はないが,月の司祭職と太陽の司祭職との間,また,太陰暦と太陽
暦との間で,奇妙な闘いが行われてきた。暦は,あらゆる時代で,宗教の中で
重要な役割を演じてきた。英国では18世紀にいたるまで,ロシアでは1917年の
ロシア革命にいたるまで,グレゴリオ暦はカトリック教のもの(papistical)
だという感情のため,不正確な暦が永続的に使用された。同様に,世界の至る
ところで,極めて不正確な太陰暦が,献身的に月を崇拝している司祭によって
擁護されていた。また,太陽暦の勝利は,遅々とし,しかも部分的なものであ
った。エジプトにおいては,かつては,この闘いは内乱の原因となった。これ
は,「月」という語のジェンダーをめぐる文法論争と関わりがあったとも考え
られる。因みに,ドイツ語では「月」のジェンダーは今日まで男性のままであ
る。太陽崇拝と月崇拝は,ともに,キリスト教にその痕跡をとどめている。と
いうのは,キリストの誕生は冬至に起こっているのに対して,キリストの復活
は過ぎ越しの祝い(復活祭)の満月の日に起こっているからである。原始文明
にいくらかの合理性があったとするのは軽率であるとしても,太陽崇拝者の勝
利は,勝利がどこで起こったにせよ,太陽は作物に対して月よりも大きな影響
を及ぼすという明白な事実によっている,という結論に抵抗することは難しい
。従って,農神祭(サートゥルナーリア祭)は,一般に,春におこなわれた
(のである)。

Chapter IV Phallic Worship, Asceticism and Sin, n.2

In many parts of the world it has been thought that the moon (regarded
 as masculine) is the true father of all children. (note 3: In the 
Maori State "the moon is the permanent husband or true husband of all
 women. According to the knowledge of our ancestors and elders, the 
marriage of man and wife is a matter of no moment: the moon is the 
true husband." Similar views have existed in most parts of the world,
 and obviously represent a transition from the stage where paternity 
was unknown to the complete recognition of its importance. Briffault,
 loc. cit., p. 37.) 
This view is, of course, connected with moon worship. There has been 
a curious conflict, not directly relevant to our present subject, 
between lunar and solar priesthoods and lunar and solar calendars. 
The calendar has at all times played an important part in religion. 
In England down to the eighteenth century and in Russia down to the 
Revolution of  1917, an inaccurate calendar was perpetuated owing to 
the feeling that the Gregorian calendar was papistical. Similarly, 
the very inaccurate lunar calendars were everywhere advocated by
 priests devoted to the worship of the moon, and the victory of the 
solar calendar was slow and partial. In Egypt this conflict was at one
 time a source of civil war. One may suppose that it was connected 
with a grammatical dispute as to the gender of the word "moon", which
 has remained masculine in German down to the present day. Both sun 
worship and moon worship have left their traces in Christianity, since
Christ's birth occurred at the winter solstice, while his resurrection
 occurred at the Paschal full-moon. Although it is rash to attribute 
any degree of rationality to primitive civilization, it is 
nevertheless difficult to resist the conclusion that the victory of 
the sun worshippers, wherever it occurred, was due to the patent fact
 that the sun has more influence than the moon over the crops. 
Accordingly Saturnalia generally occurred in the spring.
 出典: Marriage and Morals, 1929.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/MM04-020.HTM

 <寸言>
 「月に代わってお仕置きよ」(月野うさぎ=セーラームーン)。

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創刊日:2014-12-19  
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