名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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ラッセル『結婚論』第二章「母系社会」n.6:父親の子供に対する愛情

2018/03/06

 第二章 母系社会 n.6  

 マリノスキーは次のように主張しているが,それはまったく正しいと(正し
いに違いない)と私は考える。即ち,彼によれば,男は,妻の妊娠と出産の期
間中ずっと妻と一緒に居続ければ,子供が生まれた時,その子どもを愛するよ
うになる本能「的」な傾向があり,これは父親としての感情の基礎をなすもの
である。マリノフスキーは次のように言う。「人間の父性は,最初は,生物学
的な基礎をほとんど完全に欠いているように見えるが,(実は)天賦の資質と生
物的としての基本的な要求とに深く根ざしていることを示すことができる。」
けれども,マリノウスキーは,男が妻の妊娠期間中ずっと妻から離れていると
,初めのうちは子供に対して本能的な愛情は感じないだろうと考えるが,それ
でも,慣習と部族の倫理(道徳)に従って,男が母親や子供とつきあうように
なれば,母親のそばにずっといた場合のように,徐々に(彼らに対する)愛情
が発達するであろう,と(も)考える。あらゆる重要な人間関係において,社
会的に望ましい行為は,それに向かう本能は必ずしも常に人を強いるほど強い
ものではないため,社会倫理(道徳)によって強要されるのであり,それはこ
れらの未開人の間でも変わらない。慣習は,子供が幼い間は母親の夫が子供の
世話をし,保護するように命じるが,この慣習を強要するのは難しいことでは
ない。概ね,本能と一致しているからである。

Chapter II Matrilineal Societies,n.6

Malinowski maintains, and in this I think he must be right, that if a
 man remains with his wife during pregnancy and child-birth he has an
instinctive tendency to be fond of the child when it is born, and that
 this is the basis of the paternal sentiment. "Human paternity," he 
says, "which appears at first as almost completely lacking in 
biological foundation, can be shown to be deeply rooted in natural 
endowment and organic need." He thinks, however, that if a man is 
absent from his wife during pregnancy he will not instinctively feel
 affection for the child at first, although, if custom and tribal 
ethics lead him to associate with the mother and child, affection will
 develop as it would have done if he had been with the mother 
throughout. In all the important human relations, socially desirable
 acts, towards which there is an instinct not strong enough to be 
always compelling, are enforced by social ethics, and so it is among 
these savages. Custom enjoins that the mother's husband shall care for
 the children and protect them while they are young, and this custom 
is not difficult to enforce, since it is, as a rule, in line with 
instinct. 
 出典: Marriage and Morals, 1929.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/MM02-060.HTM

 <寸言>
野獣においては,
自分の子孫を残すために他のオスから生まれたコドモを殺してしまう動物が少
なくない。人間世界においても、再婚相手(あるいは同棲相手)の男が前の夫
の子供を殺害してしまうニュースがけっこう報道される。もちろん、他の男と
の間に生まれた子供であっても、愛する女性の子供であればかわいがる/大切
にする男も少なくないが、どうもその反対の感情を持つ者の方が多そう。

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創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
発行周期:日刊  
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