名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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ラッセル『結婚論』序論 n.8:現行の性倫理の批評における二つの課題

2018/02/27

 以上列挙した全ての観点から吟味された後でなければ,いかなる性倫理(注:
sexual ethic。ethics と複数形なら「倫理学」)も, しっかりした根拠に立
って,その是非(正当化できるか,不適切とするか)を決めることはできない。
(性倫理の)改革者も反動家も,同様に,問題の一つの側面かあるいはよくて
も二つの側面しか考察しない癖(傾向)がある。特に,個人的な観点と政治的
な観点とが組みあわさっている場合(両方の側面から検討されていること)は
稀である。このうちの一方が他方よりも重要であるとは絶対に言えないにもか
かわらずである(注:and yet それは「〜にもかかわらず。
http://eigo-jouhou.com/what-is-and-yet-what-is-but-yet/)。
また,個人的な観点から見て良い制度は,政治的な観点から見ても良い制度で
あるとかその逆も真である,という確信を,我々は,アプリオリ(注:経験に
依存せず・先見的)に抱くことはできない。

 私自身の信念は,大部分の時代及び場所において,人びとは,ぼんやりとし
た心理的な力に導かれて,まったく不要な残酷さを伴う制度を採用しており,
この状況は,現代の最も文明の進んでいる民族の間でも現在においても(いま
だ」)変わっていない,というものである。

 私は,また,医学や公衆衛生(衛生学)の進歩は,個人的観点及び公共的観
点の両方から見て,性倫理の諸変化を望ましいものとしてきているとともに,
他方,上述したとおり,教育における国家の役割が増してきたために,次第に
父親は過去の時代ほど重要ではなくなりつつある,と信じている。
 従って,今日の性倫理を批評する場合,二つ(二重)の課題がある。即ち,一
方では,しばしば潜在意識になっている迷信(的要素)を除去しなければならな
いし,他方では,現在の知恵ではなく,過去の時代の知恵を愚かであるとする
ような,まったく新しい要素を考慮しなければならない。  

 既存の制度に関する展望(視野)を得るために,まず,過去に存在していた
,あるいは,現在もあまり文明の進んでいない種族の間に存在している制度を
考察することにする。次いで,今日,西欧文明の中で一般的になっている制度
の特徴づけを行い,最後に,この現行の制度の改善すべき点と,そのような改
善が行われるとよいと望む根拠を考察することにする。
 出典: Marriage and Morals, 1929, Introduction.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/MM-INTRO070.HTM

No sexual ethic can be either justified or condemned on solid grounds
 until it has been examined from all the points of view above 
enumerated. Reformers and reactionaries alike are in the habit of 
considering one or at most two of the aspects of the problem. It is
 especially rare to find any combination of the private and the 
political points of view, and yet it is quite impossible to say that
 either of these is more important than the other, and we can have no
assurance a priori that a system which is good from a private point of
view would also be good from a political point of view, or vice versa.
 My own belief is that in most ages and in most places obscure 
psychological forces have led men to adopt systems involving quite 
unnecessary cruelty, and that this is still the case among the most 
civilised races at the present day. I believe also that the advances 
in medicine and hygiene have made changes in sexual ethics desirable
 both from a private and public point of view, while, as already 
suggested, the increasing role of the State in education is gradually
 rendering the father less important than he has been throughout 
historical times. We have, therefore, a twofold task in criticising 
the current ethics: on the one hand we have to eliminate the elements
 of superstition, which are often subconscious; on the other hand we
 have to take account of those entirely new factors which make the 
wisdom of past ages the folly instead of the wisdom of the present.
In order to obtain a perspective upon the existing system, I shall
 first consider some systems which have existed in the past or exist
 at the present time among the less civlised portions of mankind. 
I shall then proceed to characterise the system now in vogue in 
Western civilisation, and finally to consider the respects in which
 this system should be amended and the grounds for hoping that such
 amendment will take place. 
 出典: Marriage and Morals, 1929, Introduction.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/MM-INTRO080.HTM

 <寸言>
 現行の性倫理の良し悪しを考えるためには、性倫理の歴史及び社会による性
倫理の相違についてよく比較検討して見る必要がある。

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創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
発行周期:日刊  
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