名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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ラッセル『結婚論(結婚と性道徳』序論 n.5:一夫一婦制も多様也

2018/02/23

 けれども,一夫一婦制の家族の中にも,いろいろな種類がある。結婚は,
(両)当事者自身で決められる場合もあれば,親が決める場合もある。花嫁が
買われる国もあれば,たとえばフランスのように,花婿が買われる国もある。
(注:これは,「冗談」です。ラッセルの冗談をそのままとる人がいて困りま
す。/参考:「フランスで事実婚が多い理由,番長がお教えするぜ」)
http://fban.blog9.fc2.com/blog-entry-11.html
それから,離婚についても,離婚をまったく認めないカトリック教の(国の)
極端な
ものから,古代中国の法律のように,おしゃべりだからといって妻を離婚する
ことを許すものにいたるまで,千差万別である(ありとあらゆる形態がある)。
 性関係における忠実さ(節操),または準忠実さは,人間の間ばかりではな
く,動物の間にも見られる。それは,種の保存のためにオスが子育てに参加す
る必要がある場合である。たとえば,鳥は,卵をあたためるために,抱き続け
なければならないし(卵の上に座り続けなければならないし),また,昼間の
多くの時間を餌を捜して過ごさなければならない大部分の種類の(鳥)にとっ
て,一羽でこの両方をすることは不可能である。従って,オスの協力が必須で
ある。その結果,たいていの鳥は,貞節の鑑(模範)になっている。
 人間の間では,父親の(による)協力は,子(子孫)にとって生物学的に非常
に有利である。不安定な(動乱の)時代や,乱暴な人々の間では,特にそうで
ある。しかし,近代文明の発達とともに,父親の役割はますます国家によって
肩代わりされるようになりつつあり,少なくとも賃金労働者階級においては,
父親は,遠からず,生物学的な有利さを失う可能性がある,と考える(考えてよ
い)理由がある。もしも,このようなことが起こったら,伝統的な道徳は,完
全に崩壊すると予想しなければならない。なぜなら,母親は,自分の子の父親
が誰であるかを疑いのないものにしておきたいと願う理由がもはやなくなるか
らである。
 プラトンなら,もう一歩進んで,国家が父親の肩代わりだけでなく,母親の
肩代わりもさせるようにすることであろう。私自身は,それほど国家の賛美者
でもないし,孤児院の楽しさにさほど感銘しているわけでもないので,そのよ
うな計画を熱狂的に支持することはできない。同時に,経済力のおかげで,そ
の計画がある程度採用されるということも,ありえないことではない。

Within the monogamic family there are, however, many varieties. 
Marriages may be decided by the parties themselves or by their 
parents. In some countries the bride is purchased; in others, e.g. 
France, the bridegroom. Then there may be all kinds of differences as
 regards divorce, from the Catholic extreme, which permits no divorce,
 to the law of old China, which permitted a man to divorce his wife 
for being a chatterbox. Constancy or quasi-constancy in sex relations
 arises among animals, as well as among human beings, where, for the
 preservation of the species, the participation of the male is 
necessary for the rearing of the young. Birds, for example, have to
 sit upon their eggs continuously to keep them warm, and also have to
 spend a good many hours of the day getting food. To do both is, among
 many species, impossible for one bird, and therefore male cooperation
is essential. The consequence is that most birds are models of virtue.
Among human beings the co-operation of the father is a great 
biological advantage to the offspring, especially in unsettled times
 and among turbulent populations, but with the grow of modern 
civilisation the role of the father is being increasingly taken over
 by the State, and there is reason to think that a father may cease 
before long to be biologically advantageous, at any rate in the 
wage-earning class. If this should occur, we must expect a complete
 breakdown of traditional morality, since there will no longer be any
 reason why a mother should wish the paternity of her child to be 
indubitable. Plato would have us go a step further, and put the State
 not only in place of the father but in that of the mother also. I am
 not myself sufficiently an admirer of the State, or sufficiently 
impressed with the delights of orphan asylums, to be enthusiastically
 in favour of this scheme. At the same time it is not impossible that
 economic forces may cause it to be to some extent adopted.
 出典: Marriage and Morals, 1929, Introduction.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/MM-INTRO050.HTM

 <寸言>
 自分の国の制度や慣習が普通だとおもってしまいがちであるが、江戸時代の
妻を離縁する際に妻に「三行半」を渡す慣習をみれば、いかに時代や権力と人
民との関係が影響しているかがわかる。

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創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
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