名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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肉体が消滅したあとの心(精神)?

2018/02/13

 もしこの(私の)理論(説)が正しいとすれば,精神と脳(物質)との間の一
定の結びつき(連鎖)は不可避である。たとえば、記憶に対応して,脳にいくら
かの物理的修正がなければならないし(注:何かを新しく記憶すれば脳にそれ
に対応した痕跡が残るはず),精神生活(知的生活)は脳組織の物理的特質
(特性)と結びついていなければならない。実際,我々の知識がもっと豊富で
あったならば,物理学的陳述と心理学的陳述とは同じことの違った言い方にす
ぎないことがわかるであろう(見て取れるであろう)。精神(心)の脳(物質)へ
の依存,あるいは,脳(物質)の精神への依存についての古くからの諸問題は,
このようにして,言語的利便性へと還元される(注:都合によって,どちらの
説明の仕方をしてもよい,ということ)。
 我々が脳(物質としての)についてより知っている場合には,精神を従属的
なものとみることが便利であろうが,精神についてより知っている場合には,
脳(物質としての)を従属的なものとして見る方が便利であろう。どちらにし
ても,実質的な事実は同じであり,その相違は単に我々の知識の程度に関する
ものだけである。
 上述したことがもし正しいのであれば,肉体から分離した精神(心)という
ようなものは存在しないと絶対的に断言できる,とは思わない。心理学の法則
によって結合された(結合した)事象群はあるが,物理法則に元づいて結合さ
れた(結合した)事象群がないならば,肉体から分離した精神が存在すること
になるであろう。死んだ物質は物理法則によって配列され,心理学の法則によ
って配列されていない事象群からなりたっていることを,我々は躊躇なく信じ
ている(信じる)。そうして(それならば),反対のこと(注:上述の,肉体
から分離した精神)が生じないというアプリオリな理由はないようにみえる。
我々はその(肉体から分離した精神が存在することの)経験的な証拠を持たな
いと言うことができるが,それ以上のことは言うことはできない。

If this theory is right, certain kinds of connection between mind and
 brain are inescapable. Corresponding to memory, for example, there 
must be some physical modifying of the brain, and mental life must be
 connected with physical properties of the brain tissue. In fact, 
if we had more knowledge, the physical and psychological statements 
would be seen to be merely different ways of saying the same thing. 
The ancient question of the dependence of mind on brain, or brain on
 mind, is thus reduced to linguistic convenience. In cases where we 
know more about the brain it will be convenient to regard the mind 
as dependent, but in cases where we know more about the mind it will
 be convenient to regard the brain as dependent. In either case, the
 substantial facts are the same, and the difference is only as to the
 degree of our knowledge. 
I do not think it can be laid down absolutely, if the above is right,
 that there can be no such thing as disembodied mind. There would be
 disembodied mind if there were groups of events connected according
 to the laws of psychology, but not according to the laws of physics.
 We readily believe that dead matter consists of groups of events 
arranged according to the laws of physics, but not according to the
 laws of psychology. And there seems no a priori reason why the 
opposite should not occur. We can say we have no empirical evidence
 of it, but more than this we cannot say. 
 出典:Bertrand Russell : Mind and Matter (1950?)
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/19501110_Mind-Matter160.HTM

 <寸言>
 (理論上は)ラッセルが全否定はできないと言っている「死んだ後に残る精
神(心)」には何ら神秘的なものはない。なぜなら,精神(こころ)でも物質
(もの)でもない中立的なものでこの世界は成り立っているという「中立一元
論」の立場にたてば,常識が精神と物質とを別物だとする考えは否定され、精
神と物質との違いは視点や見方やまとめ方の違いにすぎなくなるからである。

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創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
発行周期:日刊  
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