名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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「川床の思考」は条件反射の一つ?

2018/02/06

 他のあらゆる区別と同様,生きているものと死んでいるものとの区別は,絶
対的なものではない。専門家がそれについて生きていると言う(呼ぶ)べきか
あるいは死んでいると言う(呼ぶ)べきか決められない(ものとして)ウィル
ス(注:生命の最小単位である細胞をもたないため,「非生物」とされること
もある。)が存在するし,また,条件反射の原理は,生きているものに特徴的
であるが,他の領域にもその例を見い出せる(注:concerning which = about
 which 〜について・・・)。たとえば,巻いた紙をのばすと(さまたげるもの
がなければ)すぐにもと通りになってしまうだろう(注:コンピュータ・ウ
ィルスもよい例)。
 しかし,このような場合があるのに,我々は,条件反射を,生命の,特に生
命の最高の形態において,また,特に人間の知性の特徴として,扱うことがで
きる。精神と物質との関係は,この点でひとつの結論に到る(機が熟する)。
脳が記憶に対応する何らかの特徴を持つとしたら,適当な刺激を受けたときに
,再現(再生)を示唆するような仕方で,脳に対して起こることによって何ら
かの方法で影響を受けなければならない。これもまた,無生物の振る舞いによ
って、より少ない程度で(あるが)例証できる。たいてい乾いた状態にある川
床(watercource)は,そこに水が流れるその時には,次第に水路を侵食し溝を
つくり,次回に降る雨は,前回の流れを想い出させるコースに従って流れてい
く。あなたがお望みであれば,川底は冷い流れを経験する時に前回のことを
「想い出す」,と言ってもよいかも知れない。それは空想の飛躍だ,とあなた
は言うであろう。あなたは,川や川床は思考しないという意見なので,それは
空想の飛躍だと言われるかも知れない。しかし,思考が以前の出来事による(に
起因する)一定の行動の修正から成立っているとすれば,川床の思考は,やや初
歩的なものではあるが,川底は考えると言わなければならないだろう。どれほ
ど湿潤な気候であっても,川床に九九の掛算を教えることはできないであろう
が(そこまでは不可能であったとしても)。

Like all other distinctions, the distinction between what is living 
and what is dead is not absolute. There are viruses concerning which 
specialists cannot make up their minds whether to call them living or
 dead, and the principle of the conditioned reflex, though 
characteristic of what is living, finds some exemplification in other
 spheres. For example: if you unroll a roll of paper, it will roll 
itself up again as soon as it can. But in spite of such cases, we may
 take the conditioned reflex as characteristic of life, especially in
 its higher forms, and above all as characteristic of human 
intelligence. The relation between mind and matter comes to a head at
 this point. If the brain is to have any characteristic corresponding
 to memory, it must be in some way affected by what happens to it, in
 such a manner as to suggest reproduction on occasion of a suitable 
stimulus. This also can be illustrated in a lesser degree by the 
behavior of inorganic matter. A watercourse which at most times is 
dry gradually wears a channel down a gully at the times when it flows,
 and subsequent rains follow the course which is reminiscent of 
earlier torrents. You may say, if you like, that the river bed 
"remembers" previous occasions when it experienced cooling streams.
 This would be considered a flight of fancy. You would say it was a
 flight of fancy because you are of the opinion that rivers and river
 beds do not "think." But if thinking consists of certain 
modifications of behavior owing to former occurrences, then we shall
have to say that the river bed thinks, though its thinking is somewhat
 rudimentary. You cannot teach it the multiplication table, however
 wet the climate may be. 
 出典:Bertrand Russell : Mind and Matter (1950?)
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/19501110_Mind-Matter100.HTM 

 <寸言>
 植物状態なら「まだ生きている」と言えるだろうが、どのような状態になっ
たら死んだ状態になるかははっきりしない。最近、NHK総合TVだったか、BS1だ
ったか、脳死状態になっても20秒間は(反応ができなくても)まだ生きた状態
にあると紹介があり、某タレントが、「(20秒間は)医者が"ご臨終です"と言
っても、故人の悪口(悪態)はいわないほうがよい」と冗談を言っていたのを
記憶している。「ご臨終」の状態でも、電気ショックなどでたまに「生き返
る」ことがあるが、しかし完全に死んでいれば「生き返る」ことはないので、
「死んでいたわけではない」ということになる。
 いずれにしても、生命現象は謎の部分が多い。

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創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
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