名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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まず,あいまいなものを歴史的事実としてとりあげてはならない

2018/01/04

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 歴史(学)は科学であると(人が)言うとき,それには二つの非常に異なった
意味があります。(まず)科学は歴史的事実を確認することに関係していると
いう,比較的陳腐な意味があります。このことは,証拠が乏しくて明瞭でない,
初期の歴史(歴史時代の初期)において,特に重要ですが,証拠の間にありが
ちな対立(矛盾)が生じた場合にはいつでも,もっと最近の時代でも,起こり
ます。我々は,プロコピウス(Procopius, 326-366, 4世紀のローマ帝国にお
ける東方の帝位簒奪者(さんだつしゃ),在位:365-366)をどの程度信ずべきで
しょうか? セントヘレナ(島)でのナポレオンの労作(incubration)から
何か歴史的価値を発見する(見出す)ことができるでしょうか?(注:セント
ヘレナでナポレオンが執筆した『回顧録』のことを言っているのか?) この
ような問いは,ある意味で科学的です。なぜなら,異なった証拠のそれぞれの
情報源に対して付与される重み付け(重要性)に関係しているからです。それ
らは,それに関する考察が不明瞭かつ専門的になりがちなので,歴史家が他の
歴史家に,当然なこととして、話しかける事柄です。この種の仕事は,大規模な
歴史書を執筆しようとする時に前提とされるものです。歴史は,芸術としてど
れほど追求されようとも,事実に忠実であることによって制御されなくてはな
りません。事実よりも真実を大事にすること(truth to fact 事実に対する真
実?)は芸術の原則ですが,その原則はそれ自身で芸術の卓越性を与えるもの
ではありません。それ(その原則)は,必ずしも出来上った結果をよいものとし
ないソネットの規則のようなものです。しかし,歴史学は,歴史家が事実への
忠実性を維持するためにできるだけのことをしなければ,最大限,純粋に芸術的
な観点からみても,賞讃に価するものであることはできません。この意味での
科学は,歴史の研究において,絶対的に必須のものです。

When people speak of history as a science, there are two very 
different things that may be meant. There is a comparatively 
pedestrian sense in which science is involved in ascertaining
 historical facts. This is especially important in early history,
 where evidence is both scarce and obscure, but it arises also in
 more recent times whenever, as is apt to be the case, there is a
 conflict of testimony. How much are we to believe of Procopius? 
Is there anything of historical value to be made out of Napoleon's
 lucubrations in St. Helena? Such questions are in a sense scientific,
 since they concern the weight to be attached to different sources of
 evidence. They are matters as to which the historian may justifiably
 address himself to other historians, since the considerations 
involved are likely to be obscure and specialized. Work of this sort
 is presupposed in any attempt to write large-scale history. History,
 however much it may be pursued as an art, has to be controlled by the
 attempt to be true to fact. Truth to fact is a rule of the art, but 
does not in itself confer artistic excellence. It is like the rules of
 the sonnet, which can be scrupulously observed without conferring 
merit on the result. But history cannot be praiseworthy, even from the
 most purely artistic point of view, unless the historian does his 
utmost to preserve fidelity to the facts. Science in this sense is 
absolutely essential to the study of history. 
 出典:History as an art  (1954)
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/1057_HasA-030.HTM

 <寸言>
 事実を連ねただけでは歴史とは言えない。しかし,事実認定がいい加減なと
ころからは歴史を描くことはできない。ましてや,自分に都合のよいように歴
史的事実を捏造してはならない。まずは常識的なことであるがそのことの確認
から。

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創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
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