名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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所有衝動と創造衝動 − 前者が最小で後者が最大な人生が善い人生

2017/10/17

 自由の固有の領域に関する多くの問題に決着をつける助けになる,広汎な(適
用範囲の広い)原理が存在する。
 個人の幸福に寄与するものには,おおざっぱに言って2種類ある。即ち,私
有(私的所有)が可能なもの(こと/場合)と可能でないもの(こと/場合)で
ある。(たとえば)ある人が食べる物そのものを他の人も(同時に)食べるわ
けにはいかない。しかし,仮にある人が詩を楽しむとしても(if = even if)
,彼はそのことによって他の人も(同時に)その詩を楽しむことを妨げること
はない。大ざっばに言えば,私的所有の可能なものは物質的なものであり,一
方,可能でないものは精神的なものである。物的なもの(物質財)は,供給が
無制限でなければ公平の原則によって分配されるべきである。即ち,結果とし
て他の誰かの所有分が少なすぎる場合には,いかなる者も過大に所有してはな
らない。この分配の原理は,無制限の自由からは出て来ないだろう。無制限の
自由は,ホッブスの言う,強者の勝利に終る(ところの)万人の万人に対する
闘いへと導くであろう。
 しかし,知識,美の享受,友情,愛情のような精神的なもの(所有財)は,
それによって生活(人生)が豊かになる人たちによって他の人たちから奪いと
られること(もの)ではない。従って,この(精神的な)領域においては,申
し立て通りの(prima-facie),自由を制限するものはまったくない。ある種の
知識を禁止したり,あるいは,プラトンやスターリンのように,ある種の音楽
や詩を禁止したりする人々は,その権利のない領域に(注:no locus standi :
訴訟に参加する権利がない),政府が干渉することを許容しているのである。
 物質的なもの(財貨)と精神的なもの(財貨)との間の区別は明確に線をひ
けない場合が多いので,私はこの原理の重要性を過度に強調したいとは思わな
い。そのような例の最も明らかなものの一つは,図書の印刷(出版)である。
図書(本)は杏のプディングのように物質的なものであるが,それから引き出
すことを我々が期待するもの(良きもの)は精神的なものである。最も賢明で
ある権力(authority 権威)でさえも,いかなる本が印刷に値するかを決定で
きるような十全な原理原則を考え出すことは容易ではない。現在のように多様
な出版社がある状況において,いかなる改善も可能とは思わない。世俗的なも
のであれ聖職のものであれ,本を出版する前に,許可をとらなければいけない
ような権力があるところでは,常に,結果は悲惨である。同様なことが芸術に
ついてもいえる。いかなる者も,共産主義者でさえも,現在,ロシアの音楽が
スターリンの干渉(介入)によって改善されたとは,主張しないだろう。

There is a broad principle which helps in deciding many questions as 
to the proper sphere of liberty. The things that make for individual 
well-being are, broadly speaking, of two sorts: namely, those in which
 private possession is possible and those in which it is not. The food
that one man eats cannot be also eaten by another; but if a man enjoys
 a poem, he does not thereby place any obstacle in the way of another 
man's enjoyment of it. Roughly speaking, the goods of which private 
possession is possible are material, whereas the other sort of goods 
are mental. Material goods, if the supply is not unlimited, should be
 distributed on principles of justice: no one should have too much if,
 in consequence, someone else has too little. This principle of 
distribution will not result from unrestricted liberty, which would 
lead to Hobbes's war of all against all and end in the victory of the
 stronger. But mental goods such as knowledge, enjoyment of beauty, 
friendship and love are not taken away from other people by those 
whose lives are enriched by them. There is not, therefore, any 
prima-facie case for restrictions of liberty in this sphere. Those 
who forbid certain kinds of knowledge, or, like Plato and Stalin, 
certain kinds of music and poetry, are allowing Government to 
intervene in regions where it has no locus standi. I do not wish to
 overemphasize the importance of this principle, for there are many
 cases in which the distinction between material and mental goods 
cannot be sharply drawn. One of the most obvious of these is the 
printing of books. A book is as material as a plum pudding, but the
 good that we expect to derive from it is mental. It is not easy to
 devise any sound principle upon which even the wisest authority 
could decide what books deserve to be printed. I do not think that 
any improvement is possible upon the present diversity of publishers.
 Wherever there is an authority, whether secular or ecclesiastical, 
whose permission is required before a book can be printed, the results
 are disastrous. The same thing applies to the arts: no one, not even
 a Communist, will now contend that Russian music was improved by 
Stalin's intervention. 
 出典: John Stuart Mill,1955.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/1097_JSM-250.HTM

 <寸言>
 この主張に関連したラッセルに有名な一文は次のとおり。

The best life is one in which the creative impulses play the largest 
part and the possessive impulses the smallest.

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創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
発行周期:日刊  
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