名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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「権力の監視」を怠る国民は権力の餌食になる

2017/10/13

 我々の立法(法律)におけるこれらの中世時代精神の遺物よりもずっと重要
なものは,不当な権力の問題である。18, 19世紀の自由主義を招来させた(も
たらした)のはこの問題であった。(当時の)人々は王権に反抗し,宗教的迫
害の行われている諸国においては,(キリスト)教会の権力に反抗した。また
,外国の支配に反抗する強い民族感情のあるところでは,どこにあっても,外
国による支配に反抗した。概して,これらの目的は成功裡に成し遂げられた。
君主(王)は大統領に取って代わられ,宗教的迫害はほとんどなくなり,ヴェ
ルサイユ条約は国籍自由の原則(liberal principle of nationality)を実現
するためになしうることを行なった。
 それにもかかわらず,世界は天国にはならなかった。自由はかつてよりも少
くなり,多くはならなかったことを,自由の愛好者たちは,気がついた(発見
した)。過去において自由の大義に勝利をもたらしたスローガンや戦術は,新
しい状況には適用できず,自由主義者たちは新しい形の専制を擁護する進歩的
と思われた人たちによって見棄てられていることを知った。王や僧侶や資本家
たちは,概して,流行遅れのボギー車だった。現代の危機を代表するものは官
僚(役人)である。官僚(役人)の権力に対抗して,個人はほとんど何もできな
い。組織のみが組織と闘うことができる。(現代の)我々は,モンテスキュー
の(唱える)権力の分立(分割)の考えを,ただし新しい形で,復活させなけ
ればならないと,私は考える。
 たとえば,社会主義者の心を支配している労働と資本との闘いを考えてみよ
う。社会主義者たちは,彼らが闘っている諸悪は,資本の力が国家の手中に渡
れば消滅する,と想像した。これはロシアにおいて、組織労働者の同意のもと
に行われた。これ(資本の国有化)が行われるやいなや,労働組合は独立した
権限を奪われ,労働者たちは以前よりももっと完全に奴隷化されたことに気づ
いた。何らかの自由への抜け穴(逃げ道)を残すという問題の一元的な解決法
は存在しない。自由を愛する人々が支持できる唯一の可能な解決法は,絶対的
でない拮抗する勢力があり,どの権力も危機においては世論(公衆の意見)に
注意を払わざるをえないといった解決法でなければならない。このことは,実
際には,労働組合が組合執行部の(経営者からの)独立を確保しなければなら
ないということを意味している。職を得る時に労働組合に属さなければならな
い人たちによって享受される自由は,不十分かつ不完全であることは疑い得な
い。しかし,それは現代産業が許容できる最善のものであるように思われる。
(訳注:中村秀吉訳『(ラッセル)自伝的回想』では,the liberal principle 
of nationality のところを「ヴェルサイユ条約は民族的独立の自由の原則を
実現するために・・・」と,苦しい訳となっている。nationality は「国籍」
と訳すのが素直な訳であるが,中村氏には,国籍は一つに決まっているという
思い込みがあったために,このような訳になったのではないか?)
 参考:https://kotobank.jp/word/%E5%9B%BD%E7%B1%8D%E8%87%AA%E7%94%B1%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%89%87-1317025
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E7%B1%8D#.E5.9B.BD.E7.B1.8D.E8.87.AA.E7.94.B1.E3.81.AE.E5.8E.9F.E5.89.87

Of much greater importance than these remnants of medievalism in our
 legislation, is the question of unjust power. It was this question 
which gave rise to the liberalism of the eighteenth and nineteenth 
centuries. They protested against the power of monarchs, and against 
the power of the Church in countries where there was religious 
persecution. They protested also against alien domination wherever 
there was a strong national sentiment running counter to it. On the 
whole, these aims were successfully achieved. Monarchs were replaced 
by presidents, religious persecution almost disappeared, and the 
Treaty of Versailles did what it could to realize the liberal 
principle of nationality. In spite of all this, the world did not 
become a paradise. Lovers of liberty found that there was less of it
 than there had been, not more. But the slogans and strategies which
 had brought victory in the past to the liberal cause were not 
applicable to the new situation, and the liberals found themselves 
deserted by the supposedly progressive advocates of new forms of 
tyranny. Kings and priests and capitalists are, on the whole, 
outmoded bogies. It is officials who represent the modern danger. 
Against the power of officials, single individuals can do little; 
only organizations can combat organizations. I think we shall have to
 revive Montesquieu's doctrine of the division of powers, but in new
 forms. Consider, for example, the conflict of labor and capital which
 dominated the minds of Socialists. Socialists imagined that the evils
 they were combating would cease if the power of capital was put into
 the hands of the State. This was done in Russia with the approval of
 organized labor. As soon as it had been done the trade unions were 
deprived of independent power, and labor found itself more completely
 enslaved than ever before. There is no monolithic solution of this 
problem that will leave any loop-hole for liberty. The only possible
 solution that a lover of liberty can support must be one in which 
there are rival powers, neither of them absolute, and each compelled
 in a crisis to pay some attention to public opinion. This means, in
 practice, that trade unions must preserve their independence of the
 executive. Undoubtedly the liberty enjoyed by a man who must belong
 to his union if he is to obtain employment is an inadequate and 
imperfect liberty; but it seems to be the best that modern industries
 can permit. 
 出典: John Stuart Mill,1955.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/1097_JSM-220.HTM

 <寸言>
「権力の監視」を怠る国民は権力の餌食になりやすいということ。
 政治にあまり関心がなく、権力の暴走を日頃チェックしていなければいつの
まにか官僚や権力の力が増大し、個人の自由は減っていく。社会が複雑になれ
ばなるほど整備される法律は複雑になり、いつの間にか社会において力をもっ
ている集団の都合が良いように法律tが「整備」されていってしまう。日頃自
分の頭で考える習慣を養っていない者は、権力者や権力に追従する者の宣伝
にのり、自分で自分の首をしめる行為や判断をしてしまっても気づかない。

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創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
発行周期:日刊  
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