名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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ニーチェとオーウェルの予見と予見内容に対する態度の相違

2017/09/28

 私的資本家は国家によってとって代わられなければならないということを社
会主義の意味の一部だと理解している現代(=当時)の読者は,ミル(の著作)
を読むときに誤解(誤読)を避けることは困難である。ミルは,マンチェスタ
ー学派が封建主義的貴族政治との戦いにおいて発展させた国家への不信をすべ
て保存(維持)していた。また,彼がそこから引き出した不信の念は,彼の自
由への熱烈な信仰によって強化された。政府の権力(国家権力)は常に危険であ
る,と彼は言う。彼は,国家権力は減少するだろう,と確信する。将来におい
ては,これまで存在してきた程度(量)の政府干渉を信用する(あてにする)
ことは不可能であろうと主張する。
 この種の記述を読むのは苦痛である。なぜなら,それは将来の発展の方向を
そのおおざっぱな輪郭ですら予見することの不可能さを我々に実感させるから
である。このことについてある程度正確に将来を予見した19世紀唯一の著作家
はニーチェ(Friedrich Wilhelm Nietzsche, 1844-1900:ドイツの古典文献学
者,哲学者)であったが,それは彼が他の人たちより賢かったからではなく
,起こりつつあった憎むべきことがみな彼の見たいと思っていたことだったか
らである。オーウェル(George Orwell, 1903-1950:イギリスの作家,ジャー
ナリスト/ユートピアの逆の,全体主義的国家であるディストピアの世界を描
いた『1984年』で有名)のような予言者たちが,(彼らが)希望したというよ
りはむしろ恐れたことを予言し始めたのは,幻想から覚まされた我々の時代
(現代)になってからのことである。
 ミルは,予言においても希望においても,大規模な組織の増大しつつあるカ
(権力)を予見できなかったことによって,誤った方向に進んでしまった。こ
のことは経済においてばかりでなく他の領域についてもあてはまる。たとえば
彼は,国家は一般教育の重要性を強調すべきであるが,国家自身は教育(活動)
自体を行うべきではない,と主張した。初等教育に関するかぎり,国家に代わ
る唯一つの重要なものは教会であるということを彼は決して悟らなかった
(注:ラッセルは宗教を否定するので,ここはもちろん,「(国家がまったく
関与しなければ教育の主体が)教会になってしまう」といったニュアンスであ
ろう)。そして教会が初等教育の主体になるようなことは,彼がほとんど好ま
なかったことであろう。

To readers of our time, who take it as part of the meaning of 
Socialism that private capitalists should be replaced by the State, it
is difficult to avoid misunderstanding in reading Mill. Mill preserved
 all the distrust of the State which the Manchester School had 
developed in fighting the feudal aristocracy; and the distrust which 
he derived from this source was strengthened by his passionate belief 
in liberty. The power of governments, he says, is always dangerous. 
He is confident that this power will diminish. Future ages, he 
maintains, will be unable to credit the amount of government 
interference which has hitherto existed. It is painful to read a 
statement of this sort, since it makes one realize the impossibility
 of foreseeing, even in its most general outlines, the course of 
future development. The only nineteenth-century writer who foresaw the
future with any approach to accuracy was Nietzsche, and he foresaw it,
 not because he was wiser than other men, but because all the hateful
 things that have been happening were such as he wished to see. It is
 only in our disillusioned age that prophets like Orwell have begun to
 foretell what they feared rather than what they hoped. 
Mill, both in his prophecies and in his hopes, was misled by not 
foreseeing the increasing power of great organizations. This applies 
not only in economics, but also in other spheres. He maintained, for 
example, that the State ought to insist upon universal education, but
 ought not to do the educating itself. He never realized that, so far
 as elementary education is concerned, the only important alternative
 to the State is the Church, which he would hardly have preferred. 
 出典: John Stuart Mill,1955.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/1097_JSM-080.HTM

 <寸言>
 ニーチェを礼賛する人たちの勘違い。
 ニーチェはヒトラーと親和性がある。

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創刊日:2014-12-19  
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