名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
読者と一緒に育てていきたいと思っています.


全て表示する >

不正によって利益を得る人々が賞罰を与える地位にある

2017/09/18

 我々の今日の倫理は迷信と合理主義との奇妙に混じり合ったものである。殺
人は古代からの犯罪(注:←古代に発生した犯罪←古代の犯罪)であり,我々
はそれを長年に渡ってたちこめる恐怖の霧を通して眺めている。偽造は近代の
犯罪であり,そうして,我々はそれを合理的(合理主義的)に眺める。我々は
偽造者を罰するけれども,殺人者のように別扱いの奇異な存在とは感じない。
しかも(そうして)我々は,いまだに,社会t的慣行において,たとえ理論上
ではどう考えようとも,徳(美徳)とは行うことよりもむしろ行わないことに
あると思っている。「罪」というレッテルを貼られた一定の行為を控えること
は,他人の幸福(welfare)を増進するために何一つしなくても善人になる。
もちろん,このことは福音書において説き教え込まれている態度ではない。
「汝の隣人を汝自身のごとく愛せよ」の言葉は,一つの積極的な教訓である。
 しかし,全てのキリスト教社会で,この教訓に従う者は迫害されるか,少な
くとも貧乏を,通例は投獄を,時には死を招く。世界は不正に満ちており,不
正によって利益を得る人々は賞罰を与える立場(地位)にある。ご褒美(報賞
や褒賞など)は不平等に対する巧妙な正当化(の方法や理屈付け)を発明した
(創案した)者のところに行き(与えられ),罰はこれを矯正しよう(正そう
と)とする者のところに行く(与えられる)。隣人に対する純粋な愛情を持つ
人間が汚名を長期間避けられる国がどこかにあるという話を,私は知らない
(聞いたことがない)。
 戦争勃発直前,フランスの最良の市民であったジャン・ジョレス(Jean 
Jaures, 1859-1914:第一次世界大戦に反対したために,狂信的な国家主義者
に暗殺された。)がパリで殺害された。ジョレスを殺害した者は,公共の奉仕
(注:a public service :国家のための行為−お国のためにやったこと→
「愛国無罪」/この場合の service は可算名詞)を遂行したという理由で,
無罪放免となった。この事件は,とりわけ劇的なものであったが,しかし,同
種のことはいたるところに起っている。

Our current ethic is a curious mixture of superstition and 
rationalism. Murder is an ancient crime, and we view it through a mist
 of age-long horror. Forgery is a modern crime, and we view it 
rationally. We punish forgers, but we do not feel them strange beings
 set apart, as we do murderers. And we still think in social practice,
 whatever we may hold in theory, that virtue consists in not doing 
rather than in doing. The man who abstains from certain acts labelled
 'sin' is a good man, even though he never does anything to further 
the welfare of others. This, of course, is not the attitude inculcated
 in the Gospels: 'Love thy neighbour as thyself' is a positive precept.
 But in all Christian communities the man who obeys this precept is 
persecuted, suffering at least poverty, usually imprisonment, and 
sometimes death. The world is full of injustice, and those who profit
 by injustice are in a position to administer rewards and punishments.
The rewards go to those who invent ingenious justifications for 
inequality, the punishments to those who try to remedy it. I do not 
know of any country where a man who has a genuine love for his 
neighbour can long avoid obloquy. In Paris, just before the outbreak 
of the war, Jean Jaures, the best citizen of France, was murdered; the
 murderer was acquitted, on the ground that he had performed a public
 service. This case was peculiarly dramatic, but the same sort of 
thing happens everywhere. 
 出典: The Harm That Good Men Do,1926.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/0393_HGMD-130.HTM

 <寸言>
 国や地方自治体の各種審議会が(実質的に)時の権力者から選ばれた御用学
者や御用「識者」中心に構成されていたとしたら,(手続きだけは民主的に見
えても)民主主義は形骸化し・・・

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
発行周期:日刊  
Score!: 98 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。