名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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 H. G. ウェルズの弱点ー大衆におもねることもあり・・・

2017/09/07

 ウェルズ(1866- 1946)は,ある種のいくつかの性質で非常に優れていたこ
とは認めなければならないけれども,彼は自分の重要性を質(的なもの)より
も量(的なもの)から引き出した。彼は,たとえば『(SF小説)世界戦争』でみ
せたように異常な状況下における大衆の行動を想像することにおいて非常に長
けていた。彼は,いくつかの小説のなかで,彼自身に似ていなくもない英雄た
ちを説得力をもって描写している。政治においては,彼は,英国において社会
主義を恥ずかしくないもの(立派なもの)にした一人であった。彼は政治に関
してだけでなく,個人的倫理においても,彼の次の世代に非常に大きな影響を
与えた。彼の知識は,どこにも深いものはなかったが,とても幅広いものであ
った。けれども,彼の聖人としての地位をいくらか妨げたある種の弱点を彼は
持っていた。不人気を耐えがたく思い,大衆の叫びによく譲歩したが,それは
彼の教えの首尾一貫性を阻害した。彼は群集に共感を持ち,それによって彼は
群衆の時折のヒステリー(群集心理)を共有しがちであった。不道徳や不信心の
非難によって悩まされた時には,そのような非難に反駁することを目的とした
やや二流の物語をよく書いた。たとえば,『ある(カトリック)司教の魂』や
,夫婦喧嘩を始め,それをやめるためにラブラドール地方(注:Labrador カ
ナダの大西洋岸にある地域のこと?)で冬を過ごし,熊との共同の戦いによっ
て和解する夫婦の物語のようなものである。彼の死の直前,彼に最後に会った
時,彼は,左翼の分裂によって起こった害について,きわめて熱心に話した。
彼ははっきりとは言わなかったが,社会主義者は現状よりも共産主義者と協力
すべきだと考えているように、私は推測した。これは,彼が元気だった彼の全
盛時代の見解ではなかった。彼は,全盛時代には,マルクスのあご髭をよくか
らかい,人々に新しいマルクス主義の正統的教義を採用しないように熱心に勧
めていた,

Wells derived his importance from quantity rather than quality, though
one must admit that he excelled in certain qualities. He was very good
 at imagining mass behavior in unusual circumstances, for example in 
The War of the Worlds. Some of his novels depict convincingly heroes 
not unlike himself. Politically, he was one of those who made 
Socialism respectable in England. He had a very considerable 
influence upon the generation that followed him, not only as regards
 politics but also as regards matters of personal ethics. His 
knowledge, though nowhere profound, was very extensive. He had, 
however, certain weaknesses which somewhat interfered with his 
position as a sage. He found unpopularity very hard to endure, and
 would make concessions to popular clamor which interfered with the
 consistency of his teaching. He had a sympathy with the masses which
 made him liable to share their occasional hysterias. When he was 
worried by accusations of immorality or infidelity, he would write 
somewhat second-rate stories designed to rebut such charges, such as
 The Soul of a Bishop or the story of the husband and wife who are 
beginning to quarrel and, to stop this process, spend the winter in 
Labrador and are reconciled by a common fight against a bear. The last
 time I saw him, which was shortly before his death, he spoke with 
great earnestness of the harm done by divisions on the Left, and I 
gathered, though he did not explicitly say so, that he thought 
Socialists ought to cooperate with Communists more than they were 
doing. This had not been his view in the heyday of his vigor, when he
 used to make fun of Marx's beard and exhort people not to adopt the
 new Marxist orthodoxy. 
 出典: H. G. Wells, 1953.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/1037_WELLS-050.HTM

 <寸言>
 大衆から孤立したくないので大衆におもねることも時々してしまう人間の弱
さが H. G. ウェルズにもあったということ。

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創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
発行周期:日刊  
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