名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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ショー曰く,「私は,あなた自身よりも,あなたのことをわかっている」

2017/08/31

 ヴィクトリア朝的な虚偽と偽善に対するショーの攻撃は愉快であると同時に
慈愛深いものであり,これに対して,疑いもなく,英国人は彼に感謝の念をいだ
かなければならない。虚栄心を隠そうとする努力はヴィクトリア朝的虚偽の一
部である。私が若かった頃,我々は自分自身を隣人よりも善い人間だとは考え
ていないふりをした(へりくだった)。ショーは,こういった努力は骨が折れ
るものだと気づき,彼が初めて突然世間から脚光を浴びた時(突然世に姿を現
した時)には既にそのような努力は諦めていた。ショーは異常にうぬぼれが強
いのではなく,ただ率直さが異常なだけだと言うのが,賢い人たちの間で慣例
であった。私は後になってこれ(率直さが異常なだけという発言)は間違いで
あると考えるようになった。私の居合せた二つの出来事がこのことを確信させ
た。第一(の出来事)は,ロンドンで開かれたベルグソンのための昼食会であ
り,そこへ,ショーよりもベルグソンに対してもっと批判的な多くの専門哲学
者とともに,ショーはベルグソン賛美者(崇拝者)として招待されていた。シ
ョーは『メトシェラ』(注 Methuselah メトセラ:旧約聖書の『創世記』に登
場する,969歳で亡くなったとされる伝説的な人物)への序文のスタイルでベル
グソン哲学を展開し始めた。このショー版(の説明)ではベルグソン哲学はほ
とんど専門家に勧めるべきものではなかったので,ベルグソンは,「いやあ,
違います。まったく違います(Ah, no-o! it is not qvite zat!)」とおだや
かに口をはさんだ。しかし,ショーはまったく動ぜず,「いや,君,私はあな
たの哲学をあなた(自身)よりもよく理解しているんだよ」と答えた。ベルグ
ソンはこぶしを握りしめ,ほとんど怒りを爆発するところであった。しかし,
ベルグソンは非常な努力をして自分を抑えたので,ショーの解説的モノローグ
(長談義/独白)はそのまま続いた(のである)。

Shaw's attack on Victorian humbug and hypocrisy was as beneficent as 
it was delightful, and for this the English undoubtedly owe him a debt
of gratitude. It was a part of Victorian humbug to endeavor to conceal
 vanity. When I was young, we all made a show of thinking no better of
 ourselves than of our neighbors. Shaw found this effort wearisome, 
and had already given it up when he first burst upon the world. It 
used to be the custom among clever people to say that Shaw was not 
unusually vain, but only unusually candid. I came to think later on 
that this was a mistake. Two incidents at which I was present 
convinced me of this. The first was a luncheon in London in honor of
 Bergson, to which Shaw had been invited as an admirer, along with a
number of professional philosophers whose attitude to Bergson was more
 critical. Shaw set to work to expound Bergson's philosophy in the 
style of the preface to Methuselah. In this version, the philosophy 
was hardly one to recommend itself to professionals, and Bergson 
mildly interjected, "Ah, no-o! it is not qvite zat!" But Shaw was 
quite unabashed, and replied, "Oh, my dear fellow, I understand your
 philosophy much better than you do." Bergson clenched his fists and
 nearly exploded with rage; but, with a great effort, he controlled
 himself, and Shaw's expository monologue continued. 
 出典: Bernard Shaw, 1953.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/1036_GBS-040.HTM 

 <寸言>
 ベルグソンが怒るのも無理はない。
 攻撃する時は強いが攻撃をされると弱い人間(政治家など)はいっぱいいる
が,ショーは攻撃されても気にならなかったようである。「確信犯」であるが
、へたをすれば「狂信」にもなりかねない。

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創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
発行周期:日刊  
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