名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
読者と一緒に育てていきたいと思っています.


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死の恐怖で憂鬱になる老人

2017/08/22

 死の恐怖で憂鬱になる老人もいる。若い時にはこの感情を正当化するものが
ある。戦争(戦闘)において殺されるだろうと恐れを抱く理由のある若者(た
ち)は,人生が提供する最良のものを歎しとられているとの思いに苦痛を感じ
るのは,正当なことであろう。しかし,人間の喜びと悲しみを知り,何であれ
自分のなすべきことを全て行った老人の場合には,死の恐怖はいくらか卑しく
かつ恥ずべきものである。死の恐怖を克服する最も良い方法は −−少くとも
私にはそう思われるのだが−− 自分の興味・関心を次第により広くかつより
非個人的なものにして,ついには,自我の壁が少しずつ後ろにさがり,自分の
生命が次第に宇宙の生命に溶け込むようにすることである。個人的な人間の存
在は川のようなものであろう。最初は小さく,狭い土手の間を流れ,烈しい勢
いで石をよぎり,滝を越えて進む,次第に川幅は広がり,土手は後退し,水は
より静かに流れ,ついにはいつのまにか海へと流れ込み,苦しむこと無く,そ
の個人的存在を失う。老年になってこのように人生を見られる人は,死の恐怖
でくるしまないであろう。なぜなら,彼が気にかけ育んだ事物が存在し続ける
からである。そうして,生命力の減退とともに物憂さが増すならば,休息した
いとの思いは歓迎されざるものではないだろう。私は,他人が私のもはやでき
ないことをやりつづけていいるのを知り,また可能なかぎりのことはやったの
だという思いで満足し,いまだ仕事をしているうちに,死にたい(と思う)。

Some old people are oppressed by the fear of death. In the young there
is a justification for this feeling. Young men who have reason to fear
 that they will be killed in battle may justifiably feel bitter in the
 thought that they have been cheated of the best things that life has
 to offer. But in an old man who has known human joys and sorrows, and
 has achieved whatever work it was in him to do, the fear of death is
somewhat abject and ignoble. The best way to overcome it -so at least
 it seems to me- is to make your interests gradually wider and more 
impersonal, until bit by bit the walls of the ego recede, and your 
life becomes increasingly merged in the universal life. An individual
 human existence should be like a river: small at first, narrowly 
contained within its banks, and rushing passionately past rocks and 
over waterfalls. Gradually the river grows wider, the banks recede, 
the waters flow more quietly, and in the end, without any visible 
break, they become merged in the sea, and painlessly lose their 
individual being. The man who, in old age, can see his life in this
 way, will not suffer from the fear of death, since the things he 
cares for will continue. And if, with the decay of vitality, 
weariness increases, the thought of rest will not be unwelcome. 
I should wish to die while still at work, knowing that others will
 carry on what I can no longer do and content in the thought that 
what was possible has been done.
 出典: How to grow old, 1951.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/0958HTGO-040.HTM

 <寸言>
 少なくとも、このような境地に達している人は立派かつ羨ましいと思う人が
多いであろう。

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創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
発行周期:日刊  
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