名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
読者と一緒に育てていきたいと思っています.


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人間の重要性に対する「神」のお世辞?

2017/08/04

 (いかなる制度であれ)ある制度のある共同社会に対する道徳的な影響を判
断するためには,我々は,その制度に具現化されている衝動の種類と,その制
度がその共同社会の衝動の効力(efficacy 効き目)を増す程度を考慮しなけれ
ばならない。時として,その衝動(の種類)はきわめてはっきりしているが,
時として,それはもっと隠されている。
 たとえば,山岳会は,明らかに,冒険への衝動を具現化しているし,学会
(学問に関する協会)は,知識への衝動(知りたいとの欲求)を具現化している。
家族制度(制度としての家庭)は,嫉妬(注:男女間)と親としての感情を具
現化しており,フットボール・クラブ(注:英国ではサッカーのこと)や政党は
,競技への衝動を具現化している。しかし,,二つの最も規模の大きな社会制
度 − 即ち,教会と国家(の場合)は,その心理的な動機においては,もっと
複雑である。
 国家の主要目的は,明らかに,国内の犯罪者及び国外の敵の,両者に対する
安心・安全(セキュリティー)である。それは,子供たちが怖がる時に,(仲
間と)一緒に縮こまり(huddle 一箇所に集まり),安全感を与えてくれる大人
を探そうとする(頼ろうとする)傾向に根ざしている。教会はもっと複雑な起
源を持っている。宗教の最も重要な源泉は,明らかに,恐怖(心)である。こ
れは,現代において見ることができる。なぜなら,何か人に警告を与えるよう
な物事は,人々の思いを神に向かわせがちであるからである。戦争(Battle 
戦闘行為),疫病,船の難破は全て,人々を宗教的にさせる。しかし,宗教に
は,恐怖(心)への訴えの他に,人の心に訴えるものがいくつかある。それは
,特に我々人間の自尊心に訴えるところがある。もしキリスト教が真理であれ
ば,人類(人間)は実際そう見えるような惨めな虫けらではない(ことになる)
。人類(人間)は,この宇宙の創造神(造物主)に興味を持っており,造物主
は,労を惜しまず(take a trouble)、人類(人間)が善い行いをすれば喜び,
悪い行いをすれば不機嫌になる。これは,(神の人間に対する)大いなるお世
辞である。我々人間は(人間だったら),どの蟻が,蟻としての義務
(formicular duty)を果たしたか発見するために,蟻の巣を調査しようとし
ないであろうし,また,職務怠慢な蟻をとりあげて,地獄の焚火の中に投げ込
もうと考えたりしないであろう。神がこのような事を(実際に)我々(人間)
になさるとするなれば,それは我々人間の重要性に対するお世辞である。(ま
た)神が我々のうちの善良な者に,天国における永遠の幸福を(褒美として)
与えるというであれば,それはもっと愉快なお世辞とさえ言うべきである。そ
れにまた,比較的,近代的な観念で,宇宙の進化は,すべて我々が善と呼んで
いる類の結果,即ち,我々に喜びを与える結果をもたらすように設計(デザイ
ン)されているというのである。この場合にもまた,宇宙が我々の趣味と偏見
とを共にしている「存在」(神)によって支配されていると想像することも我
々人間を喜ばせるもの(おべっか)である。

To judge of the moral influence of any institution upon a community, 
we have to consider the kind of impulse which is embodied in the 
institution and the degree to which the institution increases the 
efficacy of the impulse in that community. Sometimes the impulse 
concerned is quite obvious, sometimes it is more hidden. An Alpine 
club, for example, obviously embodies the impulse to adventure, and a
 learned society embodies the impulse toward knowledge. The family as 
an institution embodies jealousy and parental feeling; a football club
 or a political party embodies the impulse toward competitive play; 
but the two greatest social institutions -- namely, the church and the
 state -- are more complex in their psychological motivation. 
The primary purpose of the state is clearly security against both 
internal criminals and external enemies. It is rooted in the tendency
 of children to huddle together when they are frightened and to look 
for a grown-up person who will give them a sense of security. 
The church has more complex origins. Undoubtedly the most important 
source of religion is fear; this can be seen in the present day, since
 anything that causes alarm is apt to turn people's thoughts to God. 
Battle, pestilence, and shipwreck all tend to make people religious. 
Religion has, however, other appeals besides that of terror; 
it appeals specifically to our human self-esteem. If Christianity is
 true, mankind are not such pitiful worms as they seem to be; they are
 of interest to the Creator of the universe, who takes the trouble to
 be pleased with them when they behave well and displeased when they 
behave badly. This is a great compliment. We should not think of 
studying an ants' nest to find out which of the ants performed their 
formicular duty, and we should certainly not think of picking out 
those individual ants who were remiss and putting them into a bonfire.
 If God does this for us, it is a compliment to our importance; and it
 is even a pleasanter compliment if he awards to the good among us 
everlasting happiness in heaven. Then there is the comparatively 
modern idea that cosmic evolution is all designed to bring about the
 sort of results which we call good -- that is to say, the sort of 
results that give us pleasure. Here again it is flattering to suppose
 that the universe is controlled by a Being who shares our tastes and
 prejudices.
 出典:Has Religion Made Useful Contributions to Civilization? 1930
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/0466HRMUC-160.HTM

 <寸言>
 人間は(神をのぞけば)宇宙で最も重要な存在だと思いたい人間。

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創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
発行周期:日刊  
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