名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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キリスト教における霊魂不滅の教義

2017/07/26

 この(キリスト教の)個人主義は,個人の霊魂の不滅という教義 −それは
,場合(状況/境遇)によって,あの世において無限の悦びを享受するか,ある
いは無限の悲しみを味わうことになる。− として頂点に達した。この(天国
か地獄かの)重大な相違がそのよりどころとしている状況というのは,いくら
か奇妙である。たとえば,僧侶がある言葉を唱えながら,その人の頭に水(聖
水)をふりかけた直後に死んだ人は永遠の悦びを受けることになるが,しかる
に,長い有徳の生涯のあとで,靴ひもを引きちぎってしまったために悪い言葉
(例:金竹小/ Oh, my God!)を使っている瞬間に稲妻に打たれたならば,永遠
の責苦を受けることになる。私は,現代のプロテスタントのキリスト教徒がこ
れを信じていると言っているのでも,また,神学について十分に教授されてい
ない現代のカトリックのキリスト教徒でさえおそらく信じていると言っている
のでもない。しかし、私は,このようなことが正統派の教義であり,つい最近
まで堅く信じられていた,と言いたいのである。メキシコやペルーにいたスペ
イン人たちは,かつて(常習的に),インディアンの赤ん坊に洗礼を施し,そ
の直後に彼らの脳みそを打ち砕いていたのである。(つまり)こういうやり方
によって,スペイン人たちはこれらの赤ん坊が天国に行けることを確保したの
であった。正統派のキリスト教徒であれば −今日では皆(感情的には)非難
はするけれども− 誰も彼らの行為を非難する論理的な理由を見つけ出すこと
はできない。無数のやり方で,このキリスト教の形式による個人の(霊魂の)不
滅の教義は,道徳に悲惨な影響を及ぼしてきており,また霊魂と肉体(心と体)
の形而上学的分離は,哲学に対し悲惨な影響を与えてきたのである。

This individualism culminated in the doctrine of the immortality of 
the individual soul, which was to enjoy hereafter endless bliss or 
endless woe according to circumstances. The circumstances upon which 
this momentous difference depended were somewhat curious. For example,
 if you died immediately after a priest had sprinkled water upon you 
while pronouncing certain words, you inherited eternal bliss; whereas,
 if after a long and virtuous life you happened to be struck by 
lightning at a moment when you were using bad language because you had
 broken a bootlace, you would inherit eternal torment. I do not say 
that the modern Protestant Christian believes this, nor even perhaps
 the modern Catholic Christian who has not been adequately instructed
 in theology; but I do say that this is the orthodox doctrine and was
 firmly believed until recent times. The Spaniards in Mexico and Peru
 used to baptize Indian infants and then immediately dash their brains
 out: by this means they secured that these infants went to Heaven. 
No orthodox Christian can find any logical reason for condemning their
 action, although all nowadays do so. In countless ways the doctrine 
of personal immortality in its Christian form has had disastrous 
effects upon morals, and the metaphysical separation of soul and body
 has had disastrous effects upon philosophy.
 出典:Has Religion Made Useful Contributions to Civilization? 1930
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/0466HRMUC-080.HTM

 <寸言>
 人間は人間に都合のよい神を考える(想定する)。キリスト教徒はキリスト
教徒に都合のよい神を考える。
 最近では、移民問題の関連で、イスラム教を邪教と考えてイスラム教徒を排
斥したり、場合によっては迫害することさえも許されると考えるキリスト教徒
も少なくない。そうして、天国を想定するだけでなく、地獄も併せて想定して
、キリスト教の神を信じない者は地獄に陥ると考えたり信じたりする。一方イ
スラム教徒は・・・?

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創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
発行周期:日刊  
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