名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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子供が知りたがっていることを無知にしておくことの弊害

2017/07/22

 少年はみな汽車(注:今なら電車 or SL)に興味を持っている。(たとえば)
汽車に興味を持つことは悪い(不道徳な)ことであると少年に言ったとしてみ
よう。(あるいは)少年が汽車に乗っているときや,駅にいるときにはいつも
その少年の目に包帯をしておくと仮定してみよう。彼のいる前では,「汽車」
という言葉を口にすることが許されず,彼がある場所から他の場所に運ばれる
手段に関しては計り知れない神秘のままに保たれる,と仮定しておこう。その
結果は,少年が汽車に興味を失うということにはならないであろう。逆に,彼
はより興味を持つことになるであろうが,病的な罪の意識を持つようになるで
あろう。なぜなら,この興味は,彼には不道徳(不適切)なものとされてきた
からである。活発な知性を持つ少年なら,大なり小なり,この方法によって神
経衰弱になりうることであろう。これがまさしく,性の問題ににおいてなされ
たことなのである。しかし,性は汽車よりも興味があることなので,結果はも
っと悪い。キリスト教社会(在住)の大部分の大人(成人)が,彼らが若かっ
た時に,性の知識がタブーとなっていた結果として,多かれ少なかれ(現在)
神経を病んでいる(注:あくまで,このエッセイが発表された1930年代の欧米
の状況です)。そして,そのようにして,人為的に植えつけられた罪の意識は
,その後における(大人になってからの)残酷さ,臆病さ,愚かさ,の原因の
一つである。性の問題であれ,その他の問題であれ,子供が知りたがっている
ことを無知にしておくことには,いかなる種類の合理的な根拠もない。この事
実(真実)が初等教育で認められるまで,健全な住民を決しては得られないで
あろうが,教会が教育政策を支配できるかぎり,それは不可能である。

Every boy is interested in trains. Suppose we told him that an 
interest in trains is wicked; suppose we kept his eyes bandaged 
whenever he was in a train or on a railway station; suppose we never
 allowed the word "train" to be mentioned in his presence and 
preserved an impenetrable mystery as to the means by which he is
 transported from one place to another. The result would not be that
he would cease to be interested in trains; on the contrary, he would
 become more interested than ever but would have a morbid sense of 
sin, because this interest had been represented to him as improper. 
Every boy of active intelligence could by this means be rendered in a
 greater or less degree neurasthenic. This is precisely what is done
 in the matter of sex; but, as sex is more interesting than trains, 
the results are worse. Almost every adult in a Christian community is
 more or less diseased nervously as a result of the taboo on sex 
knowledge when he or she was young. And the sense of sin which is thus
 artificially implanted is one of the causes of cruelty, timidity, and
 stupidity in later life. There is no rational ground of any sort or 
kind in keeping a child ignorant of anything that he may wish to know,
 whether on sex or on any other matter. And we shall never get a sane 
population until this fact is recognized in early education, which is
 impossible so long as the churches are able to control educational
 politics.
 出典:Has Religion Made Useful Contributions to Civilization? 1930
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/0466HRMUC-040.HTM

 <寸言>
 体制にとって、大人にとって、◯◯にとって,「不都合なこと」は知らせな
いでおこう(隠しておこう)という態度。【古今の為政者の態度: (由(よ)
らしむべし知(し)らしむべからず 《「論語」泰伯から》人民を為政者の施政
に従わせることはできるが、その道理を理解させることはむずかしい。】

 真実を知られたら社会が安定しないなどという考え方や思い込みは,支配す
る側にとってはそれほど悪いことではないと思われるかも知れないが、それを
知った時の人間(国民、子供、その他支配される側)にとって最悪とも言えるこ
と。真実が明らかになった時の反動のほうが悲惨なことになるかも知れない。

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創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
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