名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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「原罪」の概念(観念)は人間の加虐趣味にはけ口や口実を与える

2017/07/20

 キリスト教倫理に結びついている原罪の概念は,驚くべき量の害悪をなすも
のである。なぜなら,原罪の概念(注:人間は罪を背負って生まれてくるという
考え方) は,人々に,自分たちは正当であり,高邁であるとさえ信じるところ
の,彼らの加虐趣味(サディズム)のためのはけ口を与えるからである。たと
えば,梅毒の予防の問題を取り上げてみよう。前もって用心さえすれば,この
病気に感染する危険は無視できるほどのものにすることができることが知られ
ている。しかし,キリスト教徒はこの事実についての知識の普及に反対してい
る,なぜなら,彼らは罪人(注:たとえば,婚外性交をするような者)が罰せら
れることは善いことだと考えるからである。彼らは罪人を罰することは非常に
善いことだと思いこんでいるために,その罰が罪人の妻や子供に及ぶことを望
むことさえ望んでいるのである(注:このエッセイを執筆した1930年頃の状況
を言っています。)。現在この世には,もしキリスト教徒が罪人は罰せられる
べきであるとの欲求を持っていなければ,決して生まれなかったであろう,先
天的に梅毒にかかっている何千という子供がいるのである。このような我々を
悪魔的な残酷さに導く教義が,どうして道徳に良い影響を与えるなどと考える
ことができるのか,私には理解できない。

The conception of Sin which is bound up with Christian ethics is one
 that does an extraordinary amount of harm, since it affords people an
 outlet for their sadism which they believe to be legitimate, and even
 noble. Take, for example, the question of the prevention of syphilis.
 It is known that, by precautions taken in advance, the danger of 
contracting this disease can be made negligible. Christians, however,
object to the dissemination of knowledge of this fact, since they hold
 it good that sinners should be punished. They hold this so good that
 they are even willing that punishment should extend to the wives and
children of sinners. There are in the world at the present moment many
 thousands of children suffering from congenital syphilis who would 
never have been born but for the desire of Christians to see sinners 
punished. I cannot understand how doctrines leading us to this 
fiendish cruelty can be considered to have any good effects upon 
morals.

 <寸言>
 加虐の対象が自分に向かえば自虐となる。加虐も自虐もどちらもさけるべき
害悪であり,そのような感情を抱いた場合はよくよくその原因を考える必要が
ある。

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創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
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