名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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宗教においては,多くの場合,女性は「誘惑者」とされたが・・・

2017/07/19

 けれども,キリスト教の最悪の特徴は,性に対する態度である−それはあま
りにも病的かつあまりにも不自然であり,ローマ帝国が衰退しつつあった時代
の文明世界の病いと関連させることによってのみ理解することができる。我々
は,時々,キリスト教が女性の地位を改善(向上)させたという趣旨の話を聞
くことがある。これは,なしうる限りの,最もひどい歴史の曲解の一つである
。女性が極めて厳格な道徳律(倫理規則)を犯してはならないということはこ
の上もなく重大であると考えられている社会においては,女性は我慢できる地
位を享受することができない。修道士たちは,本来女性は誘惑者であると常に
見なしてきた。即ち,彼らは,女性は主として不純な情欲をあおるものだと考
えてきた。教会の教えは,童貞であること(virginity)は最善であるが,それ
が不可能な人々には結婚が許されるというのであったし,今なおそうである。
(注:大竹勝訳では,「処女は最善であり・・・」となっているが,前後関係
からわかるようにここでは男性の修道士のことを言っており,あきらかに「童
貞であること」を指している。「ヴァージン=女性」という思い込みがあるた
めであろう。大竹氏はシラキュース大学卒で日本翻訳家協会会長をされていたが・・・?)
 聖パウロが粗野に表現しているように,「(情欲で)焼き焦がれるよりは,結婚
したほうがよい」(という趣旨である)。結婚を解消できないものとし(注:
カトリックの教義では離婚を認めていない。),性愛の技術(ars amandi)につ
いてのすべての知識を根絶することによって,教会が認めた唯一の性の形 
−快楽はほとんどなく,苦痛は大きくなければならないもの− 確保すること
に,教会は全力を尽くしたのである。事実,産児制限への反対も同じ動機を持
っている。(即ち,)たとえ,女性(婦人)が,疲れきって死ぬまで,一年に
一人(have a child a year ...)子供をもつ(産む)としても(注:if = 
even if),結婚生活から多くの喜びを引き出すことを想定するべきではない。
それゆえ,産児制限には反対しなければならない(とカトリック教会は考える
のである)(注:荒地出版社刊の大竹訳『宗教は必要か』では,「もし女性が
一年間,疲労して死ぬくらいなら,結婚生活からたいした悦びを得られないで
あろう。それだから,産児制限は奨励されてはならないというのである。」と
,文法を無視した,論理的に意味不明の訳をしている。産児制限をしないで毎年
子供を産めばどういうことになるか,常識的に想像がつきそうなものである。)

The worst feature of the Christian religion, however, is its attitude
 toward sex -- an attitude so morbid and so unnatural that it can be 
understood only when taken in relation to the sickness of the 
civilized world at the time the Roman Empire was decaying. We 
sometimes hear talk to the effect that Christianity improved the 
status of women. This is one of the grossest perversions of history 
that it is possible to make. Women cannot enjoy a tolerable position 
in society where it is considered of the utmost importance that they 
should not infringe a very rigid moral code. Monks have always 
regarded Woman primarily as the temptress; they have thought of her 
mainly as the inspirer of impure lusts. The teaching of the church has
 been, and still is, that virginity is best, but that for those who 
find this impossible marriage is permissible. "It is better to marry 
than to burn," as St. Paul brutally puts it. By making marriage 
indissoluble, and by stamping out all knowledge of the ars amandi, the
 church did what it could to secure that the only form of sex which it
 permitted should involve very little pleasure and a great deal of 
pain. The opposition to birth control has, in fact, the same motive: 
if a woman has a child a year until she dies worn out, it is not to be
 supposed that she will derive much pleasure from her married life; 
therefore birth control must be discouraged.
 出典:Has Religion Made Useful Contributions to Civilization? 1930
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/0466HRMUC-030.HTM

 <寸言>
 宗教の開祖や教会の責任者(例:法王)のほとんどは男性だからね。女性の
開祖がだいぶぶんだったら、男性が誘惑者にされたかも・・・。

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創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
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