名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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宗教は恐怖(心)から生まれた病気 − 教会・教団栄えて宗教心滅ぶ

2017/07/15

 宗教についての私自身の意見は,ルクレティウス(注:Lucretius)の意見(と
同じ)である。私は,宗教を恐怖(心)から生まれた病気として,また人類への
計り知れない惨めさの根源であると考えている。けれども,宗教がある程度文
明に貢献したことは否定できない。宗教は,(宗教が起こった)初期の時代に
あっては,暦を定着させる助けをし,エジプトの僧侶たちに,日食月食を極め
て注意深く記録させたので,後に,彼らは日食月食を予言することができるよ
うになった。私はこれらの二つの功績(two services)をいつでも認める用意が
あるが,その他の功績については,私は知らない。

 宗教という言葉は,今日では極めて不正確な(散漫な)意味で使われている。
極端なプロテスタンティズム(新教)の影響のもとに,この言葉は,道徳に関
する真面目な個人的確信,あるいは,宇宙の本質に関する確信,を示すために
使用する者もいる。宗教という言葉のこういった使い方は非歴史的なものであ
る。宗教は,本来(主として)一つの社会現象である。教会(注:キリスト教会)
はその起源を強い個人的確信を持った宣教師/説教師(teachers)に帰さなけ
ればならないかもしれないが,これらの宣教師/説教師は滅多に自分たちが創建
した教会に勢力を持たなかった。しかるに,教会はその上に栄えたところの共
同社会に多大の影響を与えた。西欧文明のメンバー(一員)にとって最も興味
深いケースを取り上げてみよう。福音書に現れているキリストの教えは,キリ
スト教徒の倫理とは,驚くほど無関係である。キリスト教について,社会的,
歴史的な見地から,最も重要なものは,キリストではなくて,教会である。そ
こで,一つの社会勢力としてのキリスト教を我々が判断しようとするならば,
我々の資料としては,福音書に求めてはならない。キリストは,人は自分の財
産を貧しい者に与えるべきである,争ってはいけない,教会に行くべきではな
い(注:無教会主義),不貞(姦通)を罰してはいけない,と教えた。これら
の教えのうちいずれについても,カトリックもプロテスタント(新教徒)も,
キリストの教えに従うという強い欲求をこれまで示してはいない。確かに,フ
ラシスコ修道会の僧侶のうちには,使徒的な貧しさの教義を教えようとした者
もあるけれども,ローマ法王は,彼らを有罪だと非難し,彼らの教義は異端で
あると宣言した。あるいは,また「裁くことなかれ,汝らもまた裁かるべけれ
ばなり」というようなテクストを考察して,そのようなテクストがいかなる影
響を異端審問所(宗教裁判所)やクー・クラックス・クランに与えたかという
ことを自問してみるとよい。

 キリスト教について真理であることは,仏教においてもひとしく真理である
。仏陀は気立てが優しく,悟っていた。臨終の床において,仏陀は,(弟子た
ちが)自分(=仏陀)を不滅であると想像したことについて,弟子たちを笑っ
た。しかし坊主(Buddhist priest 仏教徒僧)は−たとえば,チベットに存在
しているように−,反啓蒙主義者であり,専制的で,これ以上ないほど残酷で
あった。

My own view on religion is that of Lucretius. I regard it as a disease
 born of fear and as a source of untold misery to the human race. 
I cannot, however, deny that it has made some contributions to 
civilization. It helped in early days to fix the calendar, and it 
caused Egyptian priests to chronicle eclipses with such care that in
 time they became able to predict them. These two services I am 
prepared to acknowledge, but I do not know of any others.
The word religion is used nowadays in a very loose sense. Some people,
 under the influence of extreme Protestantism, employ the word to 
denote any serious personal convictions as to morals or the nature of
 the universe. This use of the word is quite unhistorical. Religion is
 primarily a social phenomenon. Churches may owe their origin to 
teachers with strong individual convictions, but these teachers have 
seldom had much influence upon the churches that they have founded, 
whereas churches have had enormous influence upon the communities in
 which they flourished. To take the case that is of most interest to 
members of Western civilization: the teaching of Christ, as it appears
 in the Gospels, has had extraordinarily little to do with the ethics 
of Christians. The most important thing about Christianity, from a 
social and historical point of view, is not Christ but the church, and
 if we are to judge of Christianity as a social force we must not go 
to the Gospels for our material. Christ taught that you should give 
your goods to the poor, that you should not fight, that you should not
 go to church, and that you should not punish adultery. Neither 
Catholics nor Protestants have shown any strong desire to follow His
 teaching in any of these respects. Some of the Franciscans, it is 
true, attempted to teach the doctrine of apostolic poverty, but the 
Pope condemned them, and their doctrine was declared heretical. Or, 
again, consider such a text as "Judge not, that ye be not judged," and
 ask yourself what influence such a text has had upon the Inquisition 
and the Ku Klux Klan.
What is true of Christianity is equally true of Buddhism. The Buddha 
was amiable and enlightened; on his deathbed he laughed at his 
disciples for supposing that he was immortal. But the Buddhist 
priesthood -- as it exists, for example, in Tibet -- has been 
obscurantist, tyrannous, and cruel in the highest degree.
ostered by known methods of education.
 出典:Has Religion Made Useful Contributions to Civilization? 1930
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/0466HRMUC-010.HTM

 <寸言>
 古今東西,宗教の信者は宗教によってどれだか人類がみじめになってきたか
、その歴史に無知である。

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創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
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