名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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恐怖心と憎悪心−他者を理解しようとする努力を怠り・・・

2017/07/11

 人間には,嘆かわしいほどその傾向のある,多くのその他の政治的動機のな
かに織り込まれた,二つの(相互に)密接な関係がある情熱があります。それ
は,恐怖と憎悪(嫌悪)です。我々が恐れるものを嫌うことは常態ですが,常
にではないですが,嫌いなもの(憎むもの)を恐れるのは,しばしばあることで
す。未開人の間では通例のことだとしてよいだろうと思いますが,未開人は見
慣れないものには何であれ恐怖と憎悪(嫌悪)の両方を感ずるようです。彼ら
は当初は非常に小さな自分たちの集団(所属集団)を持っています。そうして
,その一つの集団のなかでは,特に敵意を持つ理由がなければ,全てが仲間で
す。他の集団は潜在的あるいは実際の敵です。即ち,それらの集団のなかの一
つの集団のただ一人のメンバーが偶然集団からはぐれると(他の集団によって)
殺されるでしょう。全体として,異なる(別の)集団は,状況によって,避け
たりあるいは戦ったりします。現在でもなお,外国の国民に対する我々の本能
的な反応を支配しているのはこの原始的な機構(メカニズム)です。全然旅行
したことのない人はすべての外国人を,未開人が別の集団のメンバー(一員)
を見るような目で見ることでしょう。しかし,旅行したことのある人や国際政
治を研究したことのある人は,自分が属する集団が繁栄すべきであるとしたら
,ある程度,他のいくつかの集団と融合しなければならないということを発見
していることでしょう。もしあなたが英国人であり,誰かがあなたに「フラン
ス人はあなたの兄弟(同胞)だ」と言ったら「そんな馬鹿な,彼らは肩をすく
めるし(注:英国人はしない所作?),フランス語を話す。しかも,聞くとこ
ろによると蛙を食べるそうだ」と言うのが,あなた(=英国人)が最初に本能
的に抱く気持ちでしょう。もし,彼(相手)が英国人に対し,我々英国人はロ
シア人と戦わねばならなくなるかもしれないし,そうなれば,ライン河の前線
を防御することほ望ましいことであろうし,もしライン河の前線を防御すると
いうことになれば,フランス人の援助が必要欠くペからざるものとなる,と説
明すれば,フランス人は兄弟(同胞)だという言葉が何を意味するかを英国人
は理解し始めるでしょう。しかし,たとえ旅の同行者がさらに,ロシア人もま
た兄弟(同胞)だと言ったとしても,我々は皆火星人からの(攻撃の)危険に
さらされていることを示しえない限り,彼は英国人を説得することはできない
でしょう。我々は,我々の敵を憎む人々を愛するのであり,もし我々が敵を持
たなかったら,我々が愛するようなひとびとはごく少なくなるでしょう。
 けれども,このようなことは全て,我々が単に他の人間に対する態度に関心
を持つ限りにおいてのみ真理となります。土地がいやいやながら,わずかばか
りの作物しか産み出さないという理由で,あなたは土地を敵とみなすかも知れ
ません。人は母なる自然一般を敵とみなして,人間の生活を母なる自然に打ち
克つための闘いだとみなすかも知れません。もし人間が人生をこのように見れ
ば,全人類の協力は容易になるかも知れません。そして,学校,新聞,政治家
がこの目的のために献身的になるならば,人々は容易に人生をこのように見る
ようになるでしょう。しかし,(実際は)学校は進んで愛国心を教え,新聞は
進んで興奮をかき立て,政治家は進んで再選されようとします(注:再選され
るためならウソ偽りをいうことも平気)。従って,この三者のうちのいずれも
,人類を相互自殺から救うことに対し,何もすることができないのです。

Interwoven with many other political motives are two closely related 
passions to which human beings are regrettably prone: I mean fear and 
hate. It is normal to hate what we fear, and it happens frequently, 
though not always, that we fear what we hate. I think it may be taken 
as the rule among primitive men, that they both fear and hate whatever
 is unfamiliar. They have their own herd, originally a very small one.
 And within one herd, all are friends, unless there is some special 
ground of enmity. Other herds are potential or actual enemies; a 
single member of one of them who strays by accident will be killed. 
An alien herd as a whole will be avoided or fought according to 
circumstances. It is this primitive mechanism which still controls our
 instinctive reaction to foreign nations. The completely untravelled
 person will view all foreigners as the savage regards a member of 
another herd. But the man who has travelled, or who has studied 
international politics, will have discovered that, if his herd is to
 prosper, it must, to some degree, become amalgamated with other 
herds. If you are English and someone says to you, "The French are 
your brothers", your first instinctive feeling will be, "Nonsense. 
They shrug their shoulders, and talk French. And I am even told that
 they eat frogs." If he explains to you that we may have to fight the
 Russians, that, if so, it will be desirable to defend the line of the
 Rhine, and that, if the line of the Rhine is to be defended, the help
 of the French is essential, you will begin to see what he means when
 he says that the French are your brothers. But if some 
fellow-traveller were to go on to say that the Russians also are your
 brothers, he would be unable to persuade you, unless he could show 
that we are in danger from the Martians. We love those who hate our 
enemies, and if we had no enemies there would be very few people whom
 we should love.
All this, however, is only true so long as we are concerned solely 
with attitudes towards other human beings. You might regard the soil 
as your enemy because it yields reluctantly a niggardly subsistence. 
You might regard Mother Nature in general as your enemy, and envisage
 human life as a struggle to get the better of Mother Nature. If men 
viewed life in this way, cooperation of the whole human race would 
become easy. And men could easily be brought to view life in this way
 if schools, newspapers, and politicians devoted themselves to this 
end. But schools are out to teach patriotism; newspapers are out to 
stir up excitement; and politicians are out to get re-elected. None 
of the three, therefore, can do anything towards saving the human race
 from reciprocal suicide.
 出典:Bertrand Russell: What Desires Are Politically Important? 1950
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/0944WDPI-130.HTM

 <寸言>
 好きなものは年とともに変わっていきやすいが、嫌いなものはあまり変わら
ない場合が多い。そこで、好きなものが同じ友達よりも、嫌いなものが同じ友
達のほうが、友達関係が長続きすると言われている。
 しかし、嫌いなものがたとえば、弱者いじめに対する義憤のようなものであ
ればよいが、自分の嫌いなものが他国(外国)や他人種や他集団であり、ヘイ
トスピーチを繰り返すグループに属している「友達」の場合は、「友情」が長
続きするとしても好ましくないし、多くの人に不幸をもたらす。

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創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
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