名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
読者と一緒に育てていきたいと思っています.


全て表示する >

 権力 > 所有欲や虚栄心−特に政治家においては・・・

2017/07/04

 しかし,我々がこれまで考察してきた動機(注:所有欲及び虚栄心)の影響
は大きなものですが,それらを上回る動機があります。それは権力欲です。権
力欲は,虚栄心にかなり似ていますが,決して同じものではありません。虚栄
心は,それを満足させるためには栄光(glory)が必要です。権力を持っていな
くても栄光を持つことは容易です。米国において最高の栄光を享受しているの
は映画スターたちですが,彼らは,(下院)非米活動調査委員会(the Committee
 for Un-American Activities 米ソ冷戦時代に1945年に設置され1975年に廃止
された常任委員会であり,「赤狩り(共産主義者摘発)」が行なわれた。)に
よっておとなしくさせることができます。英国では,国王は総理大臣よりも栄
光を持っていますが,総理大臣のほうが国王より権力を持っています。多くの
人々は権力よりもむしろ栄光を好みますが,大体において,そういった人々は
,栄光よりも権力を好む人々ほど物事の進行に対し影響力をもっていません。
1814年に,ブリュッヘル将軍(Gebhard Leberecht von Blucher, 1742-1819:
プロイセン王国の軍人で,ワーテルローの戦いでナポレオンを撃破)は,ナポ
レオンの宮殿を見た時,こう言いました。「これだけのものを持っていながら
,モスクワを求めて駆けまわるとは愚かではなかったか。」 ナポレオンは,
確かに虚栄心に欠けてはいませんでしたが,選択をしなければならなくなると
,彼は(虚栄心よりも)権力の方を好みました。ブリュッヘル将軍には,この
選択は愚かに思われました。権力は,虚栄心同様,飽くことを知らないもので
す。全能でないものは何であっても権力欲を完全に満足させることはできませ
ん。そして,権力欲は,特に精力的な人々の悪癖なので,権力欲の因果的効力
(causal efficacy)は,権力欲が生じる頻度とはまったく不釣合いなものとなっ
ています。権力欲は,実際,重要人物の生涯において最も強力でずば抜けた動
機なのです。

But great as is the influence of the motives we have been considering,
 there is one which outweighs them all. I mean the love of power. Love
 of power is closely akin to vanity, but it is not by any means the 
same thing. What vanity needs for its satisfaction is glory, and it is
 easy to have glory without power. The people who enjoy the greatest 
glory in the United States are film stars, but they can be put in 
their place by the Committee for Un-American Activities, which enjoys
 no glory whatever. In England, the King has more glory than the Prime
 Minister, but the Prime Minister has more power than the King. Many
 people prefer glory to power, but on the whole these people have less
effect upon the course of events than those who prefer power to glory.
 When Blucher, in 1814, saw Napoleon's palaces, he said, "Wasn't he a 
fool to have all this and to go running after Moscow." Napoleon, who 
certainly was not destitute of vanity, preferred power when he had to 
choose. To Blucher, this choice seemed foolish. Power, like vanity, is
 insatiable. Nothing short of omnipotence could satisfy it completely.
And as it is especially the vice of energetic men, the causal efficacy
 of love of power is out of all proportion to its frequency. It is, 
indeed, by far the strongest motive in the lives of important men.
 出典:Bertrand Russell: What Desires Are Politically Important? 1950
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/0944WDPI-070.HTM

 <寸言>
 政治家に多いタイプ。 

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
発行周期:日刊  
Score!: 98 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。