名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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虚栄心,偽善,権力志向・・・まるで「僕を見て!」と叫ぶ幼児のように

2017/07/03

 虚栄心はとても大きな力を持っている動機です。子供たちと日頃接している
人なら,彼ら(彼女ら)が絶えずおどけたしぐさ(ふざけた行為)をして「わ
たし(僕)を見て!」と言うのを知っています。「わたし(僕)を見て!」と
いうのは,人間の心情のなかで,最も基本的な欲求の一つです。それは道化
(人前でわざとおかしな言動・行為をすること)から死後の名声の追求まで,
無数の形をとることができます。ルネサンス時代のイタリアの小君主が,死に
際に(死の床にあって),最期の告白をなさりたいことがありますかと司祭
(カトリックの僧)から尋ねられました。彼は(こう)言いました。
「はい,一つあります。ある時,皇帝と法王の訪問を同時に受けました。私は
(周囲の)景色を見せるために二人を塔の頂上に連れて行きましたが,二人を
そこから突きおとす(絶好の)機会を見過ごしました(見過ごしてしまいまし
た)。突き落としていたら,私は不滅の名声を得たでしょう。」
 司祭(カトリックの僧)が免罪(absolution)を与えたかどうか歴史は伝えて
いません(語っていません)。虚栄心がやっかいな点の一つは,虚栄心は虚栄心
が餌とするものとともに成長する(大きくなる)ということです。自分が話題
にされればされるほど,人はますます話題にされたがります。死刑を宣告され
た殺人犯は,新聞に掲載された彼の裁判に関する記事を読むことを許されると
,新聞の報道が十分でないと思うと,その新聞に憤慨します。そうして,ほか
の新聞で自分に関する記事を読めば読むほど,報道の不十分な新聞に対してま
すます憤慨するでしょう。政治家や文士の場合も同様です。有名になればなる
ほど,新聞切り抜きサービス業は彼らを満足させることが困難になります。3
歳の幼児からその人の顔色一つで世間が震え上がるような有力者まで,人間生
活の全域にわたって,虚栄心の影響力は誇張しようとしてもほとんど誇張にな
らない(誇張できない)ほど大きなものです。人類は同じような欲求を神にも
あるという不敬(の罪)さえ犯しました。そして,人類は,神が不断に讃美さ
れることを貪欲に求めている(渇望している)と想像しています。

Vanity is a motive of immense potency. Anyone who has much to do with
 children knows how they are constantly performing some antic, and 
saying "Look at me". "Look at me" is one of the most fundamental 
desires of the human heart. It can take innumerable forms, from 
buffoonery to the pursuit of posthumous fame. There was a Renaissance
 Italian 
princeling who was asked by the priest on his deathbed if he had 
anything to repent of.

"Yes", he said, "there is one thing. On one occasion I had a visit 
from the Emperor and the Pope simultaneously. I took them to the top 
of my tower to see the view, and I neglected the opportunity to throw
 them both down, which would have given me immortal fame".

History does not relate whether the priest gave him absolution. One of
 the troubles about vanity is that it grows with what it feeds on. 
The more you are talked about, the more you will wish to be talked 
about. The condemned murderer who is allowed to see the account of his
 trial in the press is indignant if he finds a newspaper which has 
reported it inadequately. And the more he finds about himself in other
 newspapers, the more indignant he will be with the one whose reports 
are meagre. Politicians and literary men are in the same case. And the
 more famous they become, the more difficult the press-cutting agency 
finds it to satisfy them. It is scarcely possible to exaggerate the 
influence of vanity throughout the range of human life, from the 
child of three to the potentate at whose frown the world trembles. 
Mankind have even committed the impiety of attributing similar desires
 to the Deity, whom they imagine avid for continual praise.
 出典:Bertrand Russell: What Desires Are Politically Important? 1950
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/0944WDPI-060.HTM

 <寸言>
 道徳(偽善)の仮面をかぶり,虚栄心にかられた権力者たち。
 それは政治の世界だけでなく、宗教の世界、教育の世界、その他、非常に多
くの世界にはびこっており・・・

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創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
発行周期:日刊  
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