名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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軍備増強のための増税−他国(仮想敵国)に対する競争心を煽る

2017/07/01

 しかし,所有欲は資本主義制度の主要な源泉ですが,飢えを克服した後も生
き残る動機のうちで一番強力なものでは決してありません。競争心(対抗心)は
もっとより強い動機です。回教徒(マホメット教徒)の歴史において,何度も
繰り返し,(イスラムの)王朝は倒れましたが,それは,母親が異なるサルタン
の息子たちの意見が一致せずに,その結果起こった内乱で,全面的な破滅が生じ
たからです。
 (注:主婦の友社から出されたノーベル文学賞全集・第22巻に収められた大
竹勝訳では「回教史のなかで,何回となく,サルタンの息子たちのそれぞれの
母親が不和となったことから・・・」と訳されている。しかし、"Mohammedan
 history" は,ここでは「回教という宗教」の歴史ではなく「回教徒」の歴史
のことであり、また,不和(意見が一致しなかったのは母親同士ではなく息子
たちである,つまり主語を取り違えており、残念ながら読者に誤解を与える訳
になってしまっている。)
 同じ種類のことが近代ヨーロッパでも起こっています。英国政府が,とても
愚かにも,スピットヘッド(Spithead)における観艦式に参列するようにカイゼ
ル(注:ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世)を招いた時,彼(カイゼル)の心にわき
起こった考えは我々英国民が意図していたものではありませんでした。彼が考
えたのは「私(吾輩)も,おばあさま(注:英国のビクトリア女王)の海軍に
負けない海軍を持たなけらばならない」ということでした(参考:1889年8月に
,ポーツマス沖のスピットヘッドで行われた大英帝国海軍観艦式について)。
この思いから,その後我々(注:英国民だけでなく世界の人々)がその後に被っ
た全ての問題が生じました(注:第一次大戦と第二次大戦が主なもの)。もし,
所有欲が常に対抗心(競争心)より強かったら,世界は現在よりももっと幸福
な場所であったでしょう。しかし,実際(現実)は,もし,自分たちの競争相
手を完全に被滅させることが確かならば,多くの人がこころよく貧乏に耐える
ことでしょう。そういうことで,(軍備増強のために)現在の課税の水準が高
くなっているのです。
http://www.shipboard.info/blog/archives/2009/07/post_1704.html

But acquisitiveness, although it is the mainspring of the capitalist 
system, is by no means the most powerful of the motives that survive 
the conquest of hunger. Rivalry is a much stronger motive. Over and 
over again in Mohammedan history, dynasties have come to grief because
 the sons of a sultan by different mothers could not agree, and in the
 resulting civil war universal ruin resulted. The same sort of thing 
happens in modern Europe. When the British Government very unwisely 
allowed the Kaiser to be present at a naval review at Spithead, the 
thought which arose in his mind was not the one which we had intended.
 What he thought was, "I must have a Navy as good as Grandmamma's". 
And from this thought have sprung all our subsequent troubles. 
The world would be a happier place than it is if acquisitiveness were
 always stronger than rivalry. But in fact, a great many men will 
cheerfully face impoverishment if they can thereby secure complete 
ruin for their rivals. Hence the present level of taxation.
 出典:Bertrand Russell: What Desires Are Politically Important? 1950
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/0944WDPI-050.HTM

 <寸言>
 他者や他国に勝りたい(優越したい)という競争心(愛国心)を煽ることに
よって
人気を得て,権力を保持し続けようとする政治家。政府や政権の評判が悪くな
ってき
たら,外国の脅威をあおって、国民を政府に頼らせるに限る,というやり方。
東西古今,そういった権謀術策にたけた政府にあやつられる国民が少なくない。

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創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
発行周期:日刊  
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