名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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 ロックフェラーにおける「欠乏への恐怖(心)」− 極貧経験

2017/06/30

 所有欲 − 物あるいは所有権(物に対する権利)をできるだけ多く持ちたい
(所有したい)という願望は,必需品に対する欲求と(不足への)恐怖とが結び
ついたところにその根源がありそうな動機です。私は,かつて,飢饉のために死
ぬことをやっとのことで免れたエストニアから来た二人の少女と友達になった
ことがありました。彼女たちは私の家族と一緒に住み,当然のこと,食べるもの
は十分ありました。しかし,二人は,暇さえあれば,近所の畑に行って,じゃが
いもを盗み,それを貯えました。ロックフェラーも幼年時代に極貧を経験しま
したが,大人になっても,同様な(エストニアの少女と似たような)生活ぶり
をしました。同様に,絹のビザンチン風の(高級な)ソファーに座っているア
ラブの首領たち(chieftains)も砂漠(の苦しい生活)が忘れられず,いかな
る物質的な必要性もはるかに越えた財宝を貯えました。しかし,所有欲につい
ての精神分析がどのようなものであれ,所有欲が大きな動機の一つであるとい
うことは誰にも否定できません。特に,有力な動機のなかに属しています。
なぜなら,所有欲は,すでに申し上げたとおり,際限のない動機の一つだから
です。どれだけ多く物を手に入れても,人は常にもっと欲しがるものであり,
飽満(満足しきること)というのは常につかむことができない夢なのです。

Acquisitiveness - the wish to possess as much as possible of goods, or
 the title to goods - is a motive which, I suppose, has its origin in 
a combination of fear with the desire for necessaries. I once 
befriended two little girls from Estonia, who had narrowly escaped 
death from starvation in a famine. They lived in my family, and of 
course had plenty to eat. But they spent all their leisure visiting 
neighbouring farms and stealing potatoes, which they hoarded. 
Rockefeller, who in his infancy had experienced great poverty, spent
 his adult life in a similar manner. Similarly the Arab chieftains on
 their silken Byzantine divans could not forget the desert, and 
hoarded riches far beyond any possible physical need. But whatever may
 be the psychoanalysis of acquisitiveness, no one can deny that it is
 one of the great motives - especially among the more powerful, for, 
as I said before, it is one of the infinite motives. However much you
 may acquire, you will always wish to acquire more; satiety is a dream
 which will always elude you.
 出典:Bertrand Russell: What Desires Are Politically Important? 1950
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/0944WDPI-040.HTM

 <寸言>
 『ラッセル著作集3『自由と組織II』(みすず書房,大淵和夫・鶴見良行・
田中幸穂・共訳)より

「彼(ロックフェラー)の発言,思想,感情は,その母から来ている。しかしな
がら,彼の行為はその父から来ているのだ。そして父から受けついだところに
加えて,幼年時代の不快な生活につちかわれた大へんな用心深さがあったので
ある」

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創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
発行周期:日刊  
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