名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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自分は不平等に扱われたくないが他人を不平等に扱いたい人間性

2017/06/19

 アメリカでは,万人は平等であるという考えから,あらゆる人々が自分には社
会的優越者(自分よりも「社会的に」優越する者)は存在しない,という意見
をもっているけれども,自分よりも社会的に劣る者はいない,ということは容
認しない。なぜなら,万人は平等であるという教義はジェファーソンの時代以
来,自分よりも上の方には適用されるが下の方には適用されないからである。
 この間題については,人々が一般的論で言う場合には常に,深刻かつ広範な
偽善が存在している。本当に(実際に)彼らが考えかる感じていることは,二
流の小説を読むことで発見できる。そこからわかるのは,不適切な側(注:貧
乏な側など)に生まれることがどれほど恐ろしいかということであり,またか
つてドイツの小法廷でよくあったように,配偶のしまちがい(注:mesalliance
 身分の低い者との結婚)に関して大騒動があるということである。富(財産)
の大きな不平等が残存する限り,そのような状態を改める方法を理解するのは
簡単ではない。家柄崇拝が深くしみついている英国においては,戦争(注:両
大戦)によってもたらされた収入の平等化は,甚大な影響を及ぼしてきており
,そうして,若者の間,年長の人たちの家柄崇拝はいくらか馬鹿げたことだと
思われ始めている。現在でもいまだなお英国では,悲しむべき家柄崇拝(注:
snobbery 俗物根性/紳士気取り)が非常に広範に見られるが,それは収入やか
つての意味における社会的地位よりは,むしろ教育や言葉遣いに関連したもの
となっている。

 In America everybody is of opinion that he has no social superiors, 
since all men are equal, but he does not admit that he has no social 
inferiors, for, from the time of Jefferson onward, the doctrine that 
all men are equal applies only upwards, not downwards. There is on 
this subject a profound and widespread hypocrisy whenever people talk
 in general terms. What they really think and feel can be discovered 
by reading second-rate novels, where one finds that it is a dreadful 
thing to be born on the wrong side of the tracks, and that there is 
as much fuss about a mesalliance as there used to be in a small 
German Court. So long as great inequalities of wealth survive it is 
not easy to see how this can be otherwise. In England, where snobbery
 is deeply ingrained, the equalization of incomes which has been 
brought about by the war has had a profound effect, and among the 
young the snobbery of their elders has begun to seem somewhat 
ridiculous. There is still a very large amount of regrettable 
snobbery in England, but it is connected more with education and
 manner of speech than with income or with social status in the old
 sense.
 出典:Bertrand Russell: Ideas That Have Harmed Mankind,1946.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/0861HARM-150.HTM

 <寸言>
 よく反省してみれば、自分は不平等に扱われたくないが他人を不平等に扱い
たい人間性はよく理解できるはず。
 「忖度」(そんたく)だって同じこと。権力者や他人に対して優位にたって
いる者は、自分より下位の者には自分に対して「忖度する」ことを期待したり
要求したりする。「忖度」は悪いことばかりではなく、他人に対する「思いや
り」であるから必要だと開き直る者もいたりする。
 しかし、ごまかされてはならない。「思いやり」は上下の関係なくなされる
ものであるが、「忖度」は自分より上位の者に対する心遣い(おべっか)であ
り、下位の者に対して「忖度する」という言葉は使われない。

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創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
発行周期:日刊  
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