名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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「公には」男女同権だが・・・

2017/06/16

 男性の(女性に対する)優越性の信念は,今では公的には西洋諸国で死に絶え
ている(消滅してい)るが,それは高慢(うぬぼれ)という罪の,好奇心をそ
そる(興味深い)一例である。男性がより優れた筋肉をもつこと以外には,男
性が生まれつきに何らかの優越性をもっていると信じる理由はまったくない,
と私は考える。
 私はかつて多数の血統証付き(系図付き)の牡牛を飼っているところへいっ
た時のことを記憶しているが,その牡牛を有名にしたのは,その牝(めす)の
系統(注:母方)の祖先がいちじるしい授乳能力(milk-giving qualities 乳
を与える優秀さ)をもつことであった。もしも牡牛たちが(自ら)系図をつくっ
ていたとすれば,それは非常に違ったものになっていたことであろう。牝(め
す)の祖先についてはおとなしくて有徳であったということ以外にはなにも書
かれず,しかるに,牡(おす)の祖先たちは戦闘能力に優れていたと讃えられ
るであろう。
 牛の場合には,我々は両性の相対的長所について,公平な見方ができるが,
我々自身の種(人間)については,それがずっと困難だということがわかる。
 昔は,男性の優越性は簡単に証明された。なぜなら,もし女性が自分の夫の
優越性を疑ったならば,夫は妻をなぐることができたからである。このような
点における優越性から,他の点における優越性もまた当然でてくると考えられ
た。男は女より理性的であり,より発明の才をもち,感情に動かされることが
より少ない,などということになる。解剖学者たちは,女性が選挙権を獲得する
まで,男性の知的能力は女性の知的能力に勝ることを示そうとして,大脳の研
究から種々の巧妙な議論を展開していた。それらの議論は次々に誤りであるこ
とが証明されていったが,いつも同種の(男の方がすぐれているという)結論
がひきだされる新らしい論拠が出されるのであった。たとえば,男の胎児は,
生後6週間に魂を獲得するが,女性胎児は3ケ月後に(ようやく)魂を獲得す
る,と考えられたものである。この意見もまた,女性が投票権を得てからは
,捨て去られてしまった。(中世の哲学者)トマス・アクィナスは,まったく
明白なことのように,男は女よりも理性的である,と挿入句の中で述べている。
私自身は,その証拠をまったく見つけられない。ある少数の個人は,ある種の
若干の方向に合理性のかすかなひらめきをもっているが,私が観察する限り,
そのようなひらめきは女性よりも男性の方により広範にみられることはまった
くない。

The belief in the superiority of the male sex, which has now 
officially died out in Western nations, is a curious example of the 
sin of pride. There was, I think, never any reason to believe in any
innate superiority of the male, except his superior muscle. I remember
 once going to a place where they kept a number of pedigree bulls, and
 what made a bull illustrious was the milk-giving qualities of his 
female ancestors. But if bulls had drawn up the pedigrees they would 
have been very different. Nothing would have been said about the 
female ancestors, except that they were docile and virtuous, whereas 
the male ancestors would have been celebrated for their supremacy in
 battle. In the case of cattle we can take a disinterested view of the
 relative merits of the sexes, but in the case of our own species we 
find this more difficult. Male superiority in former days was easily
 demonstrated, because if a woman questioned her husband's he could 
beat her. From superiority in this respect others were thought to 
follow. Men were more reasonable than women, more inventive, less 
swayed by their emotions, and so on. Anatomists, until the women had 
the vote, developed a number of ingenious arguments from the study of
 the brain to show that men's intellectual capacities must be greater
 than women's. Each of these arguments in turn was proved to be 
fallacious, but it always gave place to another from which the same
 conclusion would follow. It used to be held that the male fetus 
acquires a soul after six weeks, but the female only after three 
months. This opinion also has been abandoned since women have had 
the vote. Thomas Aquinas states parenthetically, as something 
entirely obvious, that men are more rational than women. For my part,
 I see no evidence of this. Some few individuals have some slight 
glimmerings of rationality in some directions, but so far as my 
observations go, such glimmerings are no commoner among men than 
among women.
 出典:Bertrand Russell: Ideas That Have Harmed Mankind,1946.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/0861HARM-130.HTM

 <寸言>
 先進国においては,「公には」男女同権だと誰もが認めているが,「公以外
の場面では」,それと気づかれないように男女の差がつけられ,男の自尊心に
対し「おもいやり」が施されている。安倍総理だって,安倍総理が好きな女性
も,同様に、公では「女性活躍・・・」とか言って(「男性活躍」なんて言葉
は絶対に使われない),女性を大事にしているように見えて、その実、・・・。

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創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
発行周期:日刊  
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