名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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アメリカ、ファースト!!−経済的ナショナリズムの哲学の末路

2017/06/12

 今や世界中を通じて見られる経済的ナショナリズムの全哲学は(注:トラン
プのアメリカ・ファースト,英国のEU離脱、各国における自国第一の右翼勢
力台頭の動き),次のような誤まった信念に基礎をおいている。すなわち一国
の経済的利害は必然的に他国のそれと対立するという信念である。この誤まっ
た信念は,国際的な憎悪と対立を生み出すことによって,戦争の原因となり,
そうしてみずから(誤った信念)を真ならしめる(真理だと思わせる)傾きを
もつ。なぜなら,ひとたび戦争が勃発すれば,国家的利害の衝突はあまりにも
現実的なものになるだけだからである。たとえば製鉄業に従事する誰かに,他
の諸国の繁栄がおそらくあなたにとっても有利となるだろう,ということを説
明しようとしても,当人にその議論(論拠)をわからせることはまったく不可
能であることがわかるだろう。なぜなら彼がいきいきと意識している唯一の外
国人というのは製鉄業に従事している競争相手だからである。(競争相手以外
の)他の外国人などは,彼がまったく情緒的的関心を抱かない影のような存在
なのである。これが,経済的ナショナリズムや戦争や人為的な飢餓などの心理
的根源であり,また,人々が自分たちお互いの関係について,より視野が広く
よりヒステリックでない見方をするように導びけない限り,我々の文明に悲惨
で恥ずべき終えんをもたらすような,その他あらゆる悪弊の根源となっている
のである。

The whole philosophy of economic nationalism, which is now universal
throughout the world, is based upon the false belief that the economic
interest of one nation is necessarily opposed to that of another. This
false belief, by producing international hatreds and rivalries, is a 
cause of war, and in this way tends to make itself true, since when 
war has once broken out the conflict of national interests becomes 
only too real. If you try to explain to someone, say, in the steel 
industry, that possibly prosperity in other countries might be 
advantageous to him, you will find it quite impossible to make him see
 the argument, because the only foreigners of whom he is vividly aware
are his competitors in the steel industry. Other foreigners are 
shadowy beings in whom he has no emotional interest. This is the 
psychological root of economic nationalism, and war, and man-made 
starvation, and all the other evils which will bring our civilization
 to a disastrous and disgraceful end unless men can be induced to take
 a wider and less hysterical view of their mutual relations.
 出典:Bertrand Russell: Ideas That Have Harmed Mankind,1946.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/0861HARM-100.HTM

 <寸言>
 America First! の不都合な結果がわかるのは、2,3年後かも知れないが,
それがわかった時には、アメリカの世界における地位の相対的低下がはっきり
することであろう。

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創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
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