名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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悪しき情熱(自分が嫌いな人間や集団を迫害したいという衝動

2017/06/06

 人間が相互に加える害悪,そしてそれがはね返ることによって,自分自身に
加える害悪の,主要な源泉は,思想あるいは信念にあるというよりは,むしろ
いろいろな悪しき情熱にある,と私は考える。しかし,害をなす(有害である
ような)思想や原理は,常にではないが,概して,悪しき情熱の仮面(口実)
である。異端者たち公衆の面前で焼かれた(火あぶりの刑に処せられた)頃の
リスボンでは,時々,異端者のうちで,特に人を啓発するような変説(異端信
仰撤回)をしたものには,炎の中に入れられる前に絞め殺すという恩恵が認め
られる事態が起こった。しかしこのことは,観衆を非常に激怒させ,そのため
当局者たちは,懺悔した者(異端者)に観衆が私刑(リンチ)を加えるのを妨
止し,当局者側で(規定通りの)焚刑(ふんけい)をおこなうのに非常に苦労
したのである。犠牲者がもだえ苦しむのを眺めることが,事実,民衆の主な楽
しみの一つだったのであり,それによって,彼等はいくらか単調な暮らしを活
気づけることを期待したのである。こういった楽しみが,異端者を焚殺の刑に
処するのは正しい行為であるという一般的な信念に,多大の寄与をしたことを
,私は疑うことができない。
 同じようなことが,戦争についても当てはまる。精力にあふれた残忍な人々
は,しばしば戦争を楽しめるものだと考える。ただし,それは,勝利した戦争
であり,レイプ(婦女暴行)や掠奪にあまり邪魔が入らないという条件付きで
ある。戦争は正しい(正義のためだ),ということを人々に納得させるに当っ
て,このことは多大の助けとなっている。  『トム・ブラウンの学校時代』
の主人公であり,(英国の)パブリック・スクールの改革者だと賞讃されたア
ーノルド博士は,少年(生徒)を鞭で打つ罰は誤まっているという意見を持つ
変人(cranks)に出あうが,その意見に対して)怒りを爆発させているアーノ
ルド博士のことを読めば,誰もが,博士は鞭打ちの刑を楽しんでいたのであり
,その楽しみを奪われたくないと考えていたのだ,と結論を下さざるえないで
あろう。

I think that the evils that men inflict on each other, and by 
reflection upon themselves, have their main source in evil passions 
rather than in ideas or beliefs. But ideas and principles that do harm
 are, as a rule, though not always, cloaks for evil passions. 
In Lisbon when heretics were publicly burnt, it sometimes happened 
that one of them, by a particularly edifying recantation, would be 
granted the boon of being strangled before being put into the flames.
 This would make the spectators so furious that the authorities had 
great difficulty in preventing them from lynching the penitent and 
burning him on their own account. The spectacle of the writhing 
torments of the victims was, in fact, one of the principal pleasures
 to which the populace looked forward to enliven a somewhat drab 
existence. I cannot doubt that this pleasure greatly contributed to 
the general belief that the burning of heretics was a righteous act.
 The same sort of thing applies to war. People who are vigorous and 
brutal often find war enjoyable, provided that it is a victorious war
 and that there is not too much interference with rape and plunder. 
This is a great help in persuading people that wars are righteous. 
Dr Arnold, the hero of Tom Brown's Schooldays, and the admired 
reformer of Public Schools, came across some cranks who thought it 
a mistake to flog boys. Anyone reading his outburst of furious 
indignation against this opinion will be forced to the conclusion that
 he enjoyed inflicting floggings, and did not wish to be deprived of
 this pleasure.
 出典:Bertrand Russell: Ideas That Have Harmed Mankind,1946.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/0861HARM-020.HTM

 <寸言>
 自分が嫌いな人間や集団を迫害したいという衝動。そういった悪しき衝動を
権力者がもっていればどういうことになるか・・・。「権力者は腐敗する、絶
対的権力者は絶対的に腐敗する」というアクトン卿の言葉は、今でも生きてい
る。

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創刊日:2014-12-19  
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