名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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人間(人類)の最悪の敵は今や(自然ではなく)人間(人類

2017/06/05

(種々の)人間の不幸(災い)は,二種類に分けることができるだろう。第一
に,非人間的な環境によって被る不幸であり,第二には,他の人間によって被
る不幸である。 人類は知識や技術においてこれまで進歩をとげてきているの
で,第二の種類の不幸は,不幸(災難)全体の中で占める割合(パーセンテー
ジ)を,絶え間なく増大させるようになっている。
 昔は,たとえば飢饉は自然のいろいろな原因によるものであり,それと闘う
ために人々は最善をつくしたが,多数の人々が飢えのために亡くなった。現在
(も),世界の広大な地域が飢饉の恐れに直面しており,そのような状況は自然
の諸原因によるところが大きいけれども,(飢饉の)主たる原因は人間的なも
のである。(過去)6年間にわたって,世界の文明諸国民は,みずからの最良
のエネルギーをすべて相互殺戮に捧げた(注:第二次世界大戦のこと)。また
,(現在)お互いに生かしあうことへ急に方向転換することは困難であると認
めている。収穫をダメにし,農業機械類を取り壊し(注:兵器製造のための材
料として?),船舶輸送の組織をこわしてしまった文明諸国民は,ある地域に
おける農作物の不足を,他の地域における過剰作物によって救済する,という
ことがけっして容易でないことを認識(発見)している。もしも経済組織が,
正常(通常)の機能を発揮しているとしたならば,そういった救済は容易にで
きたであろう。
 この例が示すように,人間(人類)の最悪の敵は今や(自然ではなく)人間
(人類)である。たしかに,自然は,我々人間を今なお死すべき存在としてい
る(遅から早かれ死ななければならない)。しかし,医学の進歩とともに,我
々人間が天寿をまっとうするまで生きることが,ますます普通であるようにな
るだろう。我々は,永遠に生きることを願い,天国の終わりのない喜び −
(つまり)神の奇蹟によってその単調さがけっしてうんざりするものにまでな
らない喜び− を期待するものだ,と想定されている。しかし,実際,もはや
若くない正直な人に質問すれば,誰もがたいてい次のように答えそうである。
(即ち,これまで)この世の生活を味わってきたたので,あの世で再び「新人
(new boy)」として,生活を始めようとは思わない,と。従って,今後のこと
については,(あの世のことではなく)人類が考慮すべきもっとも重大な害悪
は,人類が自らの愚かさや悪意,あるいはその両方によって互いに他の上に生
じさせる害悪であると,言ってよいであろう。

The misfortunes of human beings may be divided into two classes: 
First, those inflicted by the non-human environment and, second, those
 inflicted by other people. As mankind have progressed in knowledge 
and technique, the second class has become a continually increasing 
percentage of the total. In old times, famine, for example, was due to
 natural causes, and although people did their best to combat it, 
arge numbers of them died of starvation. At the present moment large
 parts of the world are faced with the threat of famine, but although
natural causes have contributed to the situation, the principal causes
 are human. For six years the civilized nations of the world devoted 
all their best energies to killing each other, and they find it 
difficult suddenly to switch over to keeping each other alive. Having
 destroyed harvests, dismantled agricultural machinery, and 
disorganized shipping, they find it no easy matter to relieve the 
shortage of crops in one place by means of a superabundance in 
another, as would easily be done if the economic system were in normal
 working order. As this illustration shows, it is now man that is 
man's worst enemy. Nature, it is true, still sees to it that we are
 mortal, but with the progress in medicine it will become more and 
more common for people to live until they have had their fill of 
life. We are supposed to wish to live for ever and to look forward to
 the unending joys of heaven, of which, by miracle, the monotony will
 never grow stale. But in fact, if you question any candid person who
 is no longer young, he is very likely to tell you that, having tasted
 life in this world, he has no wish to begin again as a 'new boy' in 
another. For the future, therefore, it may be taken that much the most
 important evils that mankind have to consider are those which they 
inflict upon each other through stupidity or malevolence or both.
 出典:Bertrand Russell: Ideas That Have Harmed Mankind,1946.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/0861HARM-010.HTM

 <寸言>
 自分や自分の家族を幸福にするよりも,自分が憎む敵(例:敵国)をこらし
めたいという欲求の方が強い人間がけっこういる。群集心理の影響で、短期間
であっても、多くの国民がそのように感じれば、戦争になってしまう危険性も
ある。

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創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
発行周期:日刊  
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