名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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専門職のための養成学校になりつつある大学

2017/05/26

 こうして,大学は,中世において占めていた地位に類似した地位に逆戻りし
つつある。即ち,大学は,専門職のための養成学校になりつつある。弁護士,
聖職者,医者は,通常,大学教育を受けている。上級公務員(一級公務員=高
級官僚)も,同様である。(注:日本でも,お寺の跡取りを教育する仏教系の
大学が多数ある。東大法学部も創設当時の第一の目的は,上級公務員=高級官
僚の養成が第一であったし,現在でもそうである。/ civil service = 公務員
)技術者(技師)や種々の業種の専門家(technical workers 岩波文庫の安藤訳
では「技術者」となっているが,この technical は「専門の」という意味で
あろう。/a technical book = 専門書;a technical term = 術語,専門用語
; technical schools = 専門学校)も,大卒者の数がいだいに増えている。世
界がより複雑になり,産業がより科学的になるにつれ,ますます多くの専門家
が必要になる。そして,主として,そういう人たちは大学から供給されるので
ある。古風な人たちは,専門学校が純粋な学問の場に侵入してくることを嘆く
けれども,それにもかかわらず,この状況は続いている。なぜなら,「教養」
などなんとも思わない金権主義者たち(plutcrats)がそれを要求するからであ
る。純粋な学問の敵は,反乱を起こした(暴走した)民主主義ではなく,金権
主義者なのである。「無用の」学問(直接的に利益を生まない学問)は,「芸
術のための芸術」と同様,貴族主義的な理想であり,金権主義的な理想ではな
いのである。(つまり)この貴族主義的な理想が残っているところでは,ルネ
ッサンスの伝統がまだ廃れていないからである。私は,この理想が廃れるのを
非常に残念に思っている。純粋な学問は,貴族主義と結びついた最上のものの
一つであった。しかし,貴族主義の弊害は,この長所を容易に凌駕するほど非
常に大きかった。いずれにせよ,産業主義は,私たちが望んでも望まなくても
,貴族主義を抹殺するにちがいない。それゆえ,私たちは,貴族主義に新しく
かつより強力な理念を付与することによって,救うことができるものを救う決
心をしたほうがよいだろう。即ち,単に伝統にしがみついているかぎり,負け
戦さを戦うことになるだろう。

The universities are thus reverting to a position more analogous to 
that which they occupied in the Middle Ages ; they are becoming 
training schools for the professions. Barristers, clergymen, and 
medical men have usually had a university education ; so have the 
first division of the civil service. An increasing number of engineers
 and technical workers in various businesses are university men. 
As the world grows more complicated and industry becomes more 
scientific, an increasing number of experts are required, and in the
 main they are supplied by the universities. Old-fashioned people 
lament the intrusion of technical schools into the haunts of pure 
learning, but it continues none the less, because it is demanded by
 plutocrats who care nothing for "culture". It is they, much more than
 the insurgent democracy, who are the enemies of pure learning. 
"Useless" learning, like "art for art's sake", is an aristocratic, not
 a plutocratic, ideal ; where it lingers, it is because the Renaissance
 tradition is not yet dead. I regret the decay of this ideal 
profoundly ; pure learning was one of the best things associated with
 aristocracy. But the evils of aristocracy were so great as easily to
 outweigh this merit. In any case, industrialism must kill aristocracy
, whether we desire it or not. We may as well make up our minds, 
therefore, to save what we can by attaching it to new and more potent
 conceptions ; so long as we cling to mere tradition, we shall be 
fighting a losing battle.

 出典:On Education, especially in early childhood, 1926, Pt. 3: 
Intellectual education, chap.18:  The University.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/OE18-030.HTM

 <寸言>
 大学で教える内容が実利的な学問しか勉強・研究できない学問ばかりになっ
たら,大変不幸な事態。大学であまりまともに勉強しなかった政治家が文学部
などはいらないので組織を改正したほうがよいと言い出している。そう、政治
家の諸君が学んだような文系の学問ならあまり存在意義はないであろう。

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創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
発行周期:日刊  
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