名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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学校は通学制が良いか? 寄宿制が良いか?

2017/05/25

 以上の寄宿制(全寮制)の学校に対する賛否両論の考察のうちで,本質的で
変更不可能なものは二つしかなく,また,この二つは,相互に対立している。
 一方の側には,田園と空気と広々とした場所という長所(benefit 利益)が
ある。他方の側には,家族の愛情と,家族内の責任を知ることから得られる教
育(という長所)がある。
 田舎に住んでいる親の場合には,寄宿制の学校を支持する別な論拠がある。
即ち,自宅の近くに本当によい通学制の学校が見つかりそうにないということ
である。こういう対立する考慮点がある以上,一般的な結論を出すことが可能
だとは思われない。子供が丈夫で活発なため,健康のことはあまり心配しなく
てもよい場合には,寄宿制の学校を支持する一つの論拠がその効力を失う。一
方,子供たちが両親を非常に深く愛している場合には,通学制の学校を支持す
る一つの論拠がその効力を失う。なぜなら,家族への愛情を生き生きと保つた
めには,休日だけで十分であろうし,学期中は愛情過多になるのをきちんと防
いでくれるだろうからである。並みはずれた才能のある,感受性豊かな子供は
,寄宿制の学校へ行かないほうがよい。また,極端に才能があり感受性が豊な
場合は,まったく学校へは行かないほうがよい。もちろん,良い学校は悪い家
庭よりも優っているし,良い家庭は悪い学校よりも優っている。しかし,学校
も家庭も,共によい場合は,事例ごとに,その都度,それぞれの長所に基づい
て決定しなければならない。
 これまで,私は,(通学制か寄宿制か)どちらか一方を選択できる裕福な親
の立場から書いてきた。しかし社会的な立場に立って,この問題を政治的に考
察するときには,別に考慮すべき点が検討対象に入ってくる。
 一方には,寄宿制の学枚の費用の問題があり,他方には,子供が家から離れ
ていれば住居の問題が簡単になるという事情がある。私は,少数の稀な場合は
別として,誰でもみな18歳になるまで学校教育を受けるべきであり,専門の職
業訓練は十八歳以後に始めればよい,と強く信じている。
 この問題(通学制が良いか,寄宿制が良いか)については,賛否両方の主張
を大量にすることができるけれども,大半の賃金労働者の息子や娘の場合は,
今後も長期にわたって,この問題は経済的な考慮によって,通学制の学校のほ
うがよいというふうに結論が出されることだろう。この決定は誤りだとする明
確な根拠がない以上,たとえその決定が教育的な根拠に基づくものでないとし
ても,受け入れてもよいだろう。

Of the above considerations, both for and against boarding schools, 
there are only two that are essential and unalterable, and these two 
are on opposite sides. On the one side there is the benefit of the 
country and air and space ; on the other, the family affections and 
the education derived from knowledge of family responsibilities. 
In the case of parents who live in the country, there is a different
 argument in favour of boarding schools, namely, the improbability of
 a really good day school in their neighbourhood. I do not think it 
is possible, in view of these conflicting considerations, to arrive at
 any general conclusion. Where children are so strong and vigorous 
that considerations of health need not be taken very seriously, one 
argument for boarding schools fails. Where they are very devoted to 
their parents, one argument for day schools fails since the holidays 
will suffice to keep family affection alive, and term-time may just 
prevent it from becoming excessive. A sensitive child of exceptional 
ability had better not go to boarding school, and in extreme cases had
 better not go to school at all. Of course, a good school is better 
than a bad home, and a good home is better than a bad school. But 
where both are good, each case must be decided on its merits.
So far, I have written from the standpoint of a well-to-do parent, to
 whom individual choice is possible. When the matter is considered 
politically, from the point of view of the community, other 
considerations enter in. We have on the one hand the expense of 
boarding schools, on the other the simplification of the housing 
problem if children are away from home. I hold strongly that, apart
 from a few rare cases, everyone ought to have a scholastic education
 up to the age of eighteen, and exclusively vocational training should
 only begin after that age. Although much might be urged both ways on
 our present topic, the financial consideration will, for a long time 
to come, decide the question, in the case of most wage-earner's sons 
and daughters, in favour of day schools. Since there is no clear 
ground for thinking this decision wrong, we may accept it, in spite
 of the fact that it is not made on educational grounds.
 出典:On Education, especially in early childhood, 1926, Pt. 3: 
Intellectual education, chap.17:  Day schools and boarding schools.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/OE17-050.HTM

 <寸言>
 英国人は田舎(田園)が好きな人が多いが日本では都会を好む若者が多い,
と思われるが・・・。

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創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
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