名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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寄宿制(全寮制)の学校の長所を帳消しにする短所

2017/05/23

 ・・・。ある意味で,家族は有機的であるが,同質的な個人の集団はそうで
はない。両親がわが子を愛するのは,主として,彼らが非常に多くの面倒をか
けるからである。(一方,)もし両親が子供たちにまったく面倒をかけなけれ
ば,子供たちは親のことを真剣に考えなくなるだろう。しかし,親がかける面
倒は,正当なものでなければならない。それは,親が自分の仕事をし,自分の
生活を営もうとするならば必要であるものだけに限定しなければならない。他
人の権利を尊重することは,若い人たちが当然学ばないといけない事柄の一つ
であり,それは,他のどこにおいてよりも,家族の中において学ぶのが,いっ
そう容易である。父親がいろんな心配事で悩むこともありうるし,母親が多数
かつ多様なこまごましたことで疲れ果ててしまうこともあることを知る(理解)
することは,少年少女にとって,良いことである。また,子としての愛情が思
春期の間生き生きと保たれるのも,よいことである。家族的な愛情のない世界
は,他人にいばり散らそうとし,それに失敗するとへつらいはじめるような人
間から成る,ぎすぎすしかつ機械的な世界になりがちである。こういう悪い結
果は,ある程度,子供たちを寄宿制(全寮制)の学校に入れることから生み出さ
れるのではないかと思う。そして,こういう悪い結果は,寄宿制(全寮制)の学
校の大きな長所を帳消しにしてしまうほど深刻なものだと私はみなしている。

 it is organic, in a way in which a collection of homogeneous 
individuals is not. Parents love their children largely because they
 give so much trouble ; if parents give no trouble to their children,
 their children will not take them seriously. But the trouble they 
give must be legitimate ; it must be only such as is necessary if they
 are to do their work and have any life of their own. Respect for the
 rights of others is one of the things young people ought to learn, 
and it is more easily learnt in the family than elsewhere. It is good
 for boys and girls to know that their father can be harassed by 
worries and their mother worn out by a multiplicity of details. And it
 is good that filial affection should remain alive during adolescence.
A world without family affection tends to become harsh and mechanical,
 composed of individuals who try to domineer, but become cringing if 
they fail. I fear that these bad effects are to a certain extent 
produced by sending children to boarding schools, and I regard them as
 sufficiently serious to offset great advantages.
 出典:On Education, especially in early childhood, 1926, Pt. 3: 
Intellectual education, chap.17:  Day schools and boarding schools.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/OE17-030.HTM

 <寸言>
 全寮制の学校がその生徒にあっているかどうかは,もちろん、個人によって
異なります。しかし,。体や知能だけでなく,精神的にも成長しなければいけ
ない青年期の期間全体を、同質的な人間だけからなる全寮制の学校で長い間
(3年以上)過ごすことの弊害も見逃すわけにはいきません
 イギリスの全寮制の高校であるイートンやハーローをほめたたえる日本人が
けっこういます。しかし、ラッセルは、両校での厳しいエリート教育がどのよ
うな心性を人間に植え付けてきたか、たとえば、その結果どのような心性や考
えを持つ政治家を生んできたかと、その実態を指摘し、規律に厳しい全寮制の
エリート教育の弊害を厳しく指摘しています。

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創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
発行周期:日刊  
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