名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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 フロイト主義者の功績と不十分あるいは間違っている点

2017/04/11

 タブーであるということとまったく関係なく,性が特有(特別)なものであ
る点が一つある。それは,この本能が(他の本能と比べて)遅れて成熟すると
いうことである。精神分析学者(精神分析医)たちが指摘したように(ただし
,かなりの誇張があるが),確かに,性本能は幼年期に見られないわけではな
い。しかし,幼児における性本能の現れは,おとなの生活に現れる場合とは異
なっており,その強さもずっと弱く,男の子がおとなのように性本能を満足さ
せることは肉体的に不可能である。思春期は,(現在においても)重大な情緒
的な危機であり続けており,(これまでの情緒教育中心から)知識教育の真ん
中に投げこまれ、教育者にいろいろな難問を差し出すところの種々の混乱を引
き起こす。 こういう問題の多くについて,私は(本書『教育論』においては
)論じるつもりはない即ち,私が(本書で)考察しようとするのは,主に思春
期以前になすべき事柄である。教育上の改革が,とりわけ幼年期初期に最も必
要とされるは,まさにこの点(思春期以前になすべき事柄)に関してである。
 私は,多くの細部の個別事項についてフロイト主義者と意見を異にしている
が,性にかかわる事柄で幼い子供の取り扱い方が間違えば,大きくなってから
,いろいろな神経障害を引き起こすということを指摘した点で,彼らはとても
貴重な寄与をしたと考えている。彼らの仕事は,この点で既に広範囲にわたっ
て有益な結果をもたらしているが,まだ克服しなければならない非常に多くの
偏見が残っている。もちろん,子供たちを生後一年間は,大部分,まったく無
教育な女性の手に委ねておくという慣行のために −−こういう女性たちは,
猥褻罪で告訴されないために学識者がやむなく長々と(わかりにくい言葉で)
述べている事柄を知っているとは思えないし,それ以上にそれらの事柄を信じ
ることなど期待できないために−− その困難は非常に増しているのである。

There is one respect in which, quite independently of taboos, sex is 
peculiar, and that is the late ripening of the instinct. It is true, 
as the psycho-analysts have pointed out (though with considerable 
exaggeration), that the instinct is not absent in childhood. But its 
childish manifestations are different from those of adult life, and 
its strength is much less, and it is physically impossible for a boy 
to indulge it in the adult manner. Puberty remains an important 
emotional crisis, thrust into the middle of intellectual education, 
and causing disturbances which raise difficult problems for the 
educator. Many of these problems I shall not attempt to discuss; it 
is chiefly what should be done before puberty that I propose to 
consider. It is in this respect that educational reform is most 
needed, especially in very early childhood. Although I disagree with
 the Freudians in many particulars, I think they have done a very 
valuable service in pointing out the nervous disorders produced in 
later life by wrong handling of young children in matters connected 
with sex. Their work has already produced widespread beneficial 
results in this respect, but there is still a mass of prejudice to be
 overcome. The difficulty is, of course, greatly increased by the 
practice of leaving children, during their first years, largely in the
 hands of totally uneducated women, who cannot be expected to know, 
still less to believe, what has been said by learned men in the long 
words necessary to escape prosecution for obscenity.
 出典: On Education, especially in early childhood, 1926, Pt. 2:
      Education of character, chap. 12:  Sex Education
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/OE12-010.HTM

 <寸言>
 フロイト及びフロイト主義者の功績は大であるが、何もかも性で説明しよう
としたことで、行き過ぎがあった。ラッセルは『教育論』の中で、彼らの功績
と誤りを、具体的に述べている。

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創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
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