名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
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「エディプス・コンプレックス」なんて存在しない、と思う

2017/04/08

 精神分析学者によって前面に持ち出されてきた,もうひと組の危険がある。
ただし,私は,彼らの事実解釈には疑問があると考えている。私が考えている
危険は,父親か母親のどちらかに対する度を越した愛着に結びついた危険であ
る。大人(成人した者)は,いや青年でさえ,自分(ひとり)で考えたり感じ
たりできなくなるほど,父親あるいは母親によって,保護を受けすぎるような
ことがあってはならない。こういったことは,親の個性が子供の個性よりも強
い場合には,容易に起こる可能性がある。私は,稀な病的な事例は別として,
息子が母親に,娘が父親に,特別に惹きつけられるという意味での「エディプ
ス・コンプレックス」がある(普通に存在する)とは信じない。親の過度の影響
は,それが存在する場合は,性別にかかわらず,子供と一番多くのかかわりを
持ってきた親 − 通例,母親 − によるものである。もちろん,母親を嫌
っていて,(父親があまり家におらず)父親の姿をあまり見ない娘が,父親を
理想化することはあるかもしれない。しかし,その場合,影響は夢(の中の父
親)によってであり,現実の父親によってではない。理想化とは,さまざまな
希望を一つの口実に託することだ。つまり,口実は,ただ便宜的なものであっ
て,希望の性質とはなんの関係もない。度を過ごした親の影響は,これとはま
ったく異なる。なぜなら,親の影響は,空想上の肖像ではなく,現実の人間と
結びついているからだ。

There is another set of dangers which has been brought to the fore by
 the psycho-analysts, though I think their interpretation of the facts
 may be questioned. The dangers I am thinking of are those connected 
with undue devotion to one or other parent. An adult, and even an 
adolescent, ought not to be so overshadowed by either father or mother
as to be unable to think or feel independently. This may easily happen
 if the personality of the parent is stronger than that of the child. 
I do not believe that there is, except in rare morbid cases, an 
"Oedipus Complex", in the sense of a special attraction of sons to 
mothers and daughters to fathers. The excessive influence of the 
parent, where it exists, will belong to the parent who has had most 
to do with the child --generally the mother-- without regard to 
difference of sex. Of course, it may happen that a daughter who 
dislikes her mother and sees little of her father will idealize the
 latter; but in that case the influence is exerted by dreams, not by
 the actual father. Idealization consists of hanging hopes to a peg:
 the peg is merely convenient and has nothing to do with the nature 
of the hopes. Undue parental influence is quite a different thing from
 this, since it is connected with the actual person, not with an 
imaginary portrait.
 出典: On Education, especially in early childhood, 1926, Pt. 2:
     Education of character, chap. 11:  Affection and Sympathy
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/OE11-030.HTM

 <寸言>
 通俗的なフロイト主義者は、すべての人がエディプス・コンプレックスを生
まれつきもっているかのごとく言うが、そんなことはない、とラッセルは主張
する。病的な場合を除いて、子供が母親または父親に異常な愛着を持つことは
ないはずであり、もし持っているとしたら、親子関係や夫婦関係に問題がある
場合だろう、とのラッセルの主張。

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創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
発行周期:日刊  
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