名言

(日刊)ラッセルの言葉366_カレンダー版

英国の哲学者バートランド・ラッセル(Bertrand Russell, 1872- 1970)の名言・警句を毎朝お届けするメルマガです。
読者と一緒に育てていきたいと思っています.


全て表示する >

未知のもの,見慣れないものは不安や希望を与える

2017/03/28

 息子を怯えさせた影は,通りを通り過ぎた見えない対象物(たとえばバスな
ど)によって部屋の中に投げかけられた,ぼんやりした,迅速に動く影であっ
た。私は,自分の指で壁や床の上に影を作ってみせ,息子にも私のまねをさせて
,彼の恐怖心を治してあげた。まもなく息子は,影というものを理解したように
感じて,影を面白がるようになった。同じ原理が,機械じかけのおもちゃにもあ
てはまった。息子は,仕組み(メカニズム)を理解すると,もう怖がらなくなっ
た。しかし,仕組みが目に見えない場合は,慣れるのに時間がかかった。(たと
えば)息子は,その上に座ったり押えたりすると,陰気な音が長く出るクッショ
ンを誰かにもらったことがあった。このクッションは,長いこと彼をビクビクさ
せた。私たちは,この息子を怖がらせるものを完全に撤去するようなことは,断
じてしなかった。私たちは,それをやや離れたところに置いた。そこなら,少し
怖いだけであった。このようにして,しだいに慣れるようにした。そして,恐怖
心がまったくなくなるまで続けた。一般的に,最初は恐怖心を起こさせる神秘
的な性質も,恐怖心が克服されれば,喜びを生み出すものとなった。私の考えで
は,合理的でない恐怖心(恐れる客観的な理由のないもの)は,決してただ放っ
ておくべきではなく,弱い形でそれに慣れるようにして,しだいに克服しなけれ
ばならない。

The shadows that frightened him were vague, quickly-moving shadows 
thrown into a room by unseen objects (such as omnibuses) passing in 
the street. I cured him by making shadows on the wall and the floor 
with my fingers, and getting him to imitate me; before long, he felt 
that he understood shadows and began to enjoy them. The same principle
 applied to mechanical toys ; when he had seen the mechanism he was no
 longer frightened. But when the mechanism was invisible the process 
was slow. Someone gave him a cushion which emitted a long melancholy 
whine after being sat upon or pressed. This alarmed him for a long 
time. In no case did we entirely remove the terrifying object: we put
 it at a distance, where it was only slightly alarming ; we produced 
gradual familiarity, and we persisted till the fear completely ceased.
 Generally the same mysterious quality which caused fear at first 
produced delight when the fear had been overcome. I think an 
irrational fear should never be simply let alone, but should be 
gradually overcome by familiarity with its fainter forms.
* whine (名):すすり泣きの声;ヒューという音
 出典: On Education, especially in early childhood, 1926, Pt. 2:
     Education of character, chap. 4: Fear.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/OE04-040.HTM

 <寸言>
 恐れる合理的な理由がないものに対する恐怖心は、幼いころから徹底的に除
去すべき。

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2014-12-19  
最終発行日:  
発行周期:日刊  
Score!: 98 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。