歴史・地理

差別と歴史上の人物

歴史の人物エッセイ集です。上から目線でなく、一般民衆の立場から、自由・平等を中心とする基本的人権の獲得を中心テーマにしました。歴史を見る視点を変えることによって、自由で心豊かに生き、差別意識から解放される人が一人でも増えることを願って書きました。

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第7章 江戸時代後期 5 阿部正弘

2018/02/10

5 阿部正弘 (1819 〜 1857)






〜鎖国を終わらせ近代化に貢献して若死にした老中〜






 鎖国を終わらせた人は阿部正弘です。

1854年の日米和親条約ですね。




3代将軍徳川家光以来、200年以上にもわたり延々と続いた鎖国によって、僕たちの日本は世界の進歩から取り残されることになりました。




日米和親条約は、日本の近代化への第一歩を踏み出す重要な国際法です。

正弘は12代将軍徳川家慶(いえよし)から見込まれた優秀な人物でした。




しかし、彼の一生はわずか39年しかありません。

これはいったいなぜなのでしょうか。
 



1819年、正弘は現在の広島県にある福山第5代藩主・阿部正精(まさきよ)の五男として、江戸西の丸屋敷で生まれました。




父は11代将軍徳川家斉(いえなり)のもとで老中を務めたことがある名門です。

父の死後兄が藩主になりましたが、病弱だったため正弘に家督を譲りました。




このとき正弘は18歳です。

温厚な譜代大名の御曹司といったところでしょうか。




 とはいってもほとんど江戸で活動し、福山へのお国入りは生涯で一度だけでした。

 彼の出世はトントン拍子です。




1840年、20代前半の若さで寺社奉行に、25歳で老中に、さらに2年後には水野忠邦の後任として老中首座に就任しました。




部下に上手に仕事を任せることができる名君ともいわれています。

人材登用にあたっては、慣習や身分にかかわらず取りたてました。




下級幕臣の勝海舟や土佐の漁民であったジョン万次郎らを起用したのも正弘です。

日頃から何かと口うるさい大奥も彼には反発しなかったといいます。
 



1853年、ペリー率いる黒船来航のときは、将軍家慶から対応を任されました。

ここで正弘は急に弱気になったのでしょうか。




鎖国か開国かの結論が出ないまま、朝廷をはじめ大名、旗本、一般民衆にまで意見を伺うという行動に出ました。




ここがポイントだったのではないでしょうか。

激しく賛否両論が渦巻く中、事態は泥沼化していきました。




正弘の強烈な心労とともに、幕府の権威は弱まり、朝廷の権威が高まり、雄藩の発言力を強化させることにつながったのです。




 「いかがいたしたものか・・・、やむをえね・・・、ひとまず、国書だけ受け取ることにしよう」




これが正弘の結論です。

ペリーは次の年に返事を受け取る約束を取り付けて、いったん帰国しました。




国内には強烈な開国反対意見がありました。

朝廷をはじめ、水戸藩の徳川斉昭はその代表者でした。




「ばかな、祖法の鎖国を破るわけにはいきませんぞ」

時代遅れになっていることに気づいていないのですね。




 これでは、正弘の心労はたまる一方です。

 1854年、1月にペリーが早速再来航しました。




この期に及んで、正弘はこう発言しています。

「今回の会談は、横浜で行うことにします。




交渉はのらりくらりと長引かせていただきたい」

結局、結論が出ないまま再交渉に臨み、半ば押し切られる形で和親条約が結ばれました。




その後、ハリスが下田に駐在して、粘り強く通商条約の締結に向けた交渉を続けていったのです。




こんな中で1857年、度重なる心労で疲れ果て正弘は動けなくなり、同年ストレスから、帰らぬ人となりました。




30代の働き盛りの、若き老中首座の早すぎる最後でした。




 僕は、阿部正弘は外国人差別の犠牲者だと考えています。

正弘だけでなく、朝廷、開国反対の諸大名にも、この意識が見えます。




そもそも鎖国は、誰のためになされたものでしょうか。

決して国民のためではありません。




徳川氏を頂点とした支配者のためなのです。




アメリカを始めとする欧米諸国の実情は、行った人でなければわかりません。




行ったことがある人を探し出して意見を聞き、将軍に進言して堂々と開国に踏み切ることは難しかったのでしょうか。










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創刊日:2014-01-12  
最終発行日:  
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