歴史・地理

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差別と歴史上の人物

歴史の人物エッセイ集です。上から目線でなく、一般民衆の立場から、自由・平等を中心とする基本的人権の獲得を中心テーマにしました。歴史を見る視点を変えることによって、自由で心豊かに生き、差別意識から解放される人が一人でも増えることを願って書きました。

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第6章 江戸時代前期 7 牧野成貞

2017/12/23

7 牧野成貞 (1634 〜 1712)






〜出世と引きかえに主君に妻子を奪われた側用人〜






 主君とは5代将軍徳川綱吉です。  

 側用人(そばようにん)というのは、将軍と老中を取り次ぐ役目です。




 綱吉が成貞のために作った役職ともいえます。

 歴史上では柳沢吉保が有名ですが、牧野成貞の方が先に就任しています。




 事実上、老中たちより権力をもつことができる幕府の重要な役職です。

 大出世ですね。




 しかし、最後は家庭崩壊を招き、将軍からの支援にも鼻を曲げたのでしょうか。

 あっさり断って辞退しています。




 彼に身に、いったい何があったのでしょうか。




 綱吉がまだ将軍ではなく、館林藩主をしていたころから、成貞の父は藩主としての綱吉に仕えていました。




 この縁で、成貞も仕えるようになったのです。




 長い付き合いで寵臣として信頼を得ていました。




 幸運にも、自分の主君が5代将軍に就任したので、成貞も綱吉のおかげで次々に加増されて出世をしていきました。




 ところが、1684年、将軍にとっては不幸な事件が発生しました。

 老中堀田正俊が、若年寄の稲葉正休に江戸城内でさし殺されたのです。




 この事件に綱吉はビビリます。

 老中も若年寄も信用できない。




 明日は我が身か、ということですね。

 さっそく幕閣が仕事をする御用部屋が、将軍の部屋から遠ざけられました。




 そして将軍と老中の連絡は側用人が行ったのです。

 だから、成貞の権勢は将軍に次ぐ極めて高いものになったのです。




 また、綱吉は信頼できる寵臣でもある成貞の屋敷によくおもむきました。

 ただ、これにはとんでもない別の理由もあったようです。




 成貞の妻、阿久里(あぐり)です。

 32歳の評判の美人で、夫とは仲むつまじい女性でした。




 細かいところまでよく気がつく良妻です。

 ところが、綱吉はこの阿久里に欲情してしまったのです。




 別室で、無理やり力ずくで犯しました。

 その後、大奥に入れて側室にしてしまったのです。




 家臣の妻を強引に奪ったわけですね。

 相手は将軍です。




 彼女も夫成貞も、拒絶することができませんでした。

 これは許されない犯罪ですね。




 さらに、悲劇はこれで終わりませんでした。

 成貞と阿久里の間には、母の美貌を受け継いだ3人の娘たちがいました。




 それぞれ松子、安子、亀といいます。




 息子がおらず、長女の松子が若くして亡くなっていたので、成貞は二女安子に婿養子をとって牧野家の跡取りとしていました。




 婿は牧野成時と名のり、美濃守の官職を授けられていたのです。

 将軍の寵臣の養子になれたことに満足し、美しい妻を大切にしていました。




 結婚5年目のときです。

 こともあろうに、綱吉はこの安子にも目をつけたのでした。




 安子を大奥に強引に召し、またしても力ずくで犯したのでした。

 招きに応じなければ、お家とりつぶしになるのです。




 これはひどいですね。




 夫であった成時は、安子が大奥におもむいた夜に、切腹して果てました。

 安子も夫の後を追うように、まもなく病気にかかり、命を落とすことになりました。




 それでも、表立った非難はできません。

 将軍に対する無言の抗議ですね。




 将軍という権力は誰のためにあるのでしょうか。

 国民のためにあるのではないでしょうか。




 さすがに綱吉も、後ろめたさを感じていたのでしょう。




 最初は2,000石の家臣だった成貞を、1688年には7万3,000石の大名に取りたてました。




 しかし、こうまでされては、成貞の忠誠心も限界になったのではないでしょうか。




 後継者のいなくなった牧野家に、綱吉は何度か養子の話をもちかけましたが、成貞は首を横に振っています。




 何もかも嫌になったのでしょう。

 酒びたりになって過ごしました。




 大きな差別心のツケは、あまりにも大きな心労でした。




 もっと賢く、もっと上手に愛する妻子と娘婿を守る方法は考えられなかったのでしょうか。










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