歴史・地理

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差別と歴史上の人物

歴史の人物エッセイ集です。上から目線でなく、一般民衆の立場から、自由・平等を中心とする基本的人権の獲得を中心テーマにしました。歴史を見る視点を変えることによって、自由で心豊かに生き、差別意識から解放される人が一人でも増えることを願って書きました。

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第6章 江戸時代前期 6 桂昌院(けいしょういん)

2017/12/16

6 桂昌院(けいしょういん) (1627 〜 1705)






〜権力にこだわって民衆を苦しめた江戸時代のシンデレラ〜






 八百屋の娘が将軍の生母に。

 そして将軍がマザコンであれば、実質上の最高権力者ですね。




 この娘とは桂昌院のことで、将軍とは5代将軍徳川綱吉です。

 桂昌院は一般民衆の出身ですから、そのことは自らの体験により、よくわかっているはずです。




 それなのに、権力は手にしても結局は民衆に大きな迷惑をかけ、自分自身も長く悩ましい生涯を送ることになりました。




 これはいったいなぜなのでしょうか。




 彼女の少女時代の名前は、お玉といいます。

 1627年、京都堀川の八百屋の娘として生まれました。




 不幸にも、彼女の父は早く亡くなってしまいました。




 しかたなく、母子で二条家の家政をつかさどる職員のもとへ、女中奉公に出ることになりました。




 そこで母は妾に、お玉は養女になったのです。

 これが運命の分かれ道でした。




 二条家は、3代将軍徳川家光の側室お万の方の実家である六条家と親しく付き合っていたのでした。



 お万の方が家光の側室になるのに伴って、お玉も女中として江戸城の大奥に入ることになったのです。



 大奥には「お褥さがり」(おしとねさがり)という風習がありました。

 30歳になると、正妻でも側室でも、将軍の夜のお相手を自ら辞退するのです。




 そのかわり、自分の召使の中から若い女性を差し出すのです。




 もうおわかりですね。




 お万の方のお褥さがりによって、かわりに将軍家光に差し出された女性がお玉だったのです。

 彼女は晴れて側室となり、男子も生まれました。




 この男子が、後の徳川綱吉ですね。

 1651年、家光が亡くなったとき、お玉はまだ20代半ばの若さでした。




 綱吉にいたっては6歳です。

 仏門に入って尼になり、桂昌院と名のりました。




 ところが1680年、子どもがいなかった4代将軍徳川家綱が死去すると、綱吉に5代将軍がまわってきたのです。




 このことにより、桂昌院は将軍の生母として、再び大奥に復帰したのです。




 綱吉は学問は優秀でしたが、マザコン男性の典型だったといわれています。

 つまり、将軍以上の権力を彼女が振るったのです。




 そんな彼女にも、なかなかうまくいかない悩みがありました。

 将軍のお世継ぎにあたる、孫に恵まれなかったことです。




 徳松という待望の男児が生まれましたが、幼少のうちに亡くなってしまったのです。

 家光の正妻だった信子が差し出した女性との大奥内での権力争いもあり、桂昌院は焦ります。




 そこで彼女が相談した人物が、隆光(りゅうこう)という僧侶です。




 「綱吉公は戌(いぬ)どしの生まれであらせられる。

 生き物、特に犬を大切になされば、必ずや立派なお世継ぎに恵まれましょう」




 天下の悪法「生類憐みの令」誕生の瞬間ですね。

 「ふざけるな」という庶民の怒りの声が聞こえてきそうですね。




 犬だけでなく、鳥や牛馬、蚊などの虫に至るまで、すべて殺生はだめというものです。

 この生類憐みの令は、桂昌院が自分の権力維持をねらって、将軍綱吉に出させたものです。




 しかし、ここまでしても世継ぎの誕生はありませんでした。

 最後の望みは、一人娘である鶴姫です。




 いざという時に将軍になる資格がある、御三家・紀伊家へ嫁がせました。

 これもまた失敗です。




 鶴姫は、28歳の若さで病死しました。

 万事休すです。




 このころから、わずか二人の孫に先立たれた桂昌院は、めっきり老けこみました。

 長い権力争いと、心労がたまっていたのでしょう。




 それにしても、権力はだれのためにあるのでしょうか。




 改めて問われる、民衆の気持ちを忘れたシンデレラの悲しき末路ですね。










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創刊日:2014-01-12  
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