歴史・地理

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差別と歴史上の人物

歴史の人物エッセイ集です。上から目線でなく、一般民衆の立場から、自由・平等を中心とする基本的人権の獲得を中心テーマにしました。歴史を見る視点を変えることによって、自由で心豊かに生き、差別意識から解放される人が一人でも増えることを願って書きました。

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第3章 鎌倉時代 5 北条守時

2017/07/08

5 北条守時 (1295 〜 1333)





〜飾り物にされて自殺に追い込まれた最後の執権〜





 執権といえば、鎌倉幕府の実質上の最高権力者です。

 その第16代の執権が守時(もりとき)でした。




 32歳の若さでこの職に就任した彼は、その後7年間在職し、熱心に政務をつかさどりました。

 文化人でもあり、「続現葉和歌集」には守時の詠歌も納められています。


 

 しかし、最終的に彼は、39歳の若さで絶望の中で自殺に追い込まれています。

 いったいこの執権の身に何が起こったのでしょうか。




 守時の出身は北条氏の嫡流である得宗(とくそう)ではありません。

 分家の赤橋家です。




 だから彼は赤橋守時とも名のっていました。




 しかし、鎌倉時代の末期は得宗が専制的な政治を行い、その直属の家臣である御内人(みうちび と)が御家人よりも大きな発言力をもっていました。




 中でも内管領という職は、得宗の家督相続者とともに実質上の最高権力を握っていたのです。

 この時点で守時は、どちらにも該当していませんね。




 それでも本人の努力があったのでしょう。

 若いころから順当に出世していきました。




 13歳で官位を叙任され、4年後に評定衆に任命されています。

 さらに、引付衆(ひきつけしゅう)の一番頭人を経て、ついに執権に就任したのでした。




 しかし、この就任には問題がありました。

 当時政変が次々におこっていて、北条氏の中に執権のなり手がいなかったのです。




 「じゃあ私がやる」ということで、就任しましたのです。

 これが運命の分かれ道になってしまいました。




 本家である得宗の当主は北条高時でした。




 病弱で主体性がなく、賄賂や強訴、不当な採決が横行し、御家人たちから反感を買っていました。




 「悪党」と呼ばれる下層から成り上がった新興勢力も台頭し、幕府に従わなくなっていたのです。



 幕府内のいざこざに嫌気がさした高時はいきなり出家しましたが、それでも幕府の事実上の最高権力は放しませんでした。




 守時もこの状況には苦慮しています。

 ストレスから胃痛に悩まされるようになりました。




 守時の妹は足利尊氏と結婚していました。

 後の室町幕府を開いたことで有名な人物ですね。




 その妹の夫である尊氏が鎌倉幕府を見捨てて、後醍醐天皇についたことは大きなショックだったことでしょう。




 やがて尊氏は、京都の幕府出先機関である六波羅探題(ろくはらたんだい)を攻め滅ぼしました。




 勝負あった瞬間ですね。




 ところが、この責任をとらされて、守時は高時から謹慎を申しつけられているのです。

 「こんな仕事ホイホイと受けるんじゃなかった」




 謀反人の義兄として、守時に対する幕府内の風当たりは強烈なものでした。




 守時は疎外され、足利との密通を疑われたり、根拠なき誹謗中傷にますます苦しむことになったのです。




 1333年、ついに新田義貞が倒幕の兵をあげます。

 連戦連勝して意気上がる新田軍は一気に鎌倉に向かいました。




 守時は、自ら捨て石となって戦場に赴き、やけくそになって敵兵を斬りまくりました。

 そして、自分の腹を十字に引き裂いて、切腹して果てたのでした。




 有名無実化した鎌倉幕府の執権。

 地位は高くとも、責任だけ大きくとらされた最期ですね。




 こうなることは最初から読めなかったのでしょうか。

 だから執権のなり手がいなかったのですね。




 社会的地位に目がくらんで、自滅に追い込まれたとも考えられます。




 その背景には、やはり人間を上下関係でとらえようとする差別心が横たわっています。




 彼も根本的にその差別心から解放され、重税に苦しむ一般民衆と時代の流れを的確に把握することができていれば、少なくとも30代での自殺はなかったのではないでしょうか。










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創刊日:2014-01-12  
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