歴史・地理

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差別と歴史上の人物

歴史の人物エッセイ集です。上から目線でなく、一般民衆の立場から、自由・平等を中心とする基本的人権の獲得を中心テーマにしました。歴史を見る視点を変えることによって、自由で心豊かに生き、差別意識から解放される人が一人でも増えることを願って書きました。

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第1章 古 代 7 草壁皇子

2017/01/28

7 草壁皇子 (662〜689)






〜母親の権力欲の犠牲になって若死にした悲劇の皇太子〜






 母親とは、万葉集や百人一首で有名な持統天皇です。

 父親は天武天皇、母親は持統天皇、妻は天智天皇の娘で、後に元明天皇になる女性です。




 さらに子どもたちも、それぞれ文武天皇、元正天皇として即位しています。

 周りはみんな天皇になった、文句なしの皇族一家の一員ですね。




 それなのに、草壁皇子は天皇になることなく、皇太子のまま28歳という若さで謎の死を遂げています。




 史書にも、あまり多くのことは語られていません。




 なぜでしょうか。




 662年、草壁皇子は大海人皇子(おおあまのおうじ、後の天武天皇)と鸕野皇女(うののひめみこ、後の持統天皇)の子として生まれました。




 幼いころから病弱で、母親の溺愛の下に育ちました。

 671年、早くも事件が起きます。




 父親の大海人皇子が、突然出家しました。




 「天智天皇が大海人皇子の命をねらっている」

  このように察知したので、急いで大津京を離れ、吉野にこもったのです。




 母の鸕野皇女と草壁皇子、他の皇子たちもやむを得ず吉野へ行きました。

 672年、歴史上有名な壬申の乱(じんしんのらん)が勃発します。




 負ければ死ぬことは確実ですね。

 居ても立ってもいられなかったことでしょう。




 この戦乱で、他の皇子たちの活躍は記録にあっても、草壁皇子のことはほとんど書かれていません。



 翌年、幸いにも勝つことができ、父は飛鳥浄御原で天武天皇として即位することができました。




 天武天皇は後継者として、大津皇子を考えていました。

 文武両道で身体容姿も優れ、誰が見てもふさわしい人物でした。




 ここで横槍が入ります。




 鸕野皇女が夫に強く迫り、あえて虚弱で凡庸な草壁皇子を皇太子に立てさせたのです。

 理由は単純明解ですね。




 草壁皇子は自分が産んだ子、大津皇子は自分の姉が産んだ子。

 これだけです。





 679年、「吉野の盟約」を6人の皇子たちに誓わせます。

 簡単に言えば、次のような事実上の命令です。





 「皇太子は草壁皇子に決まった。

  他の5人はみんな言うことを聞きなさい」



 



 当の草壁皇子の心境はどうだったでしょうか。





 朝廷にも民衆にも実力を認められ、人気があったのは大津皇子です。

 安心感と同時に、後ろめたさと不安、心労にさいなまれることになったのではないでしょうか。




 実際、母親の鸕野皇女も彼の人望のなさと実力はよく知っていました。

 立太子はさせたけれど、将来天皇としてやっていけるのかという不安はぬぐえませんでした。




 朝廷の臣下や民衆もこの人事には疑問を抱く人が多かったことでしょう。

 686年、天武天皇が崩御すると、すかさず鸕野皇女は暴挙に出ます。




 大津皇子に謀反の罪をなすりつけ、捕えた翌日に処刑したのです。

 あっという間の出来事です。




 天武天皇の死後、わずか23日のことでした。




 大津皇子の妻、山辺皇女(やまべのひめみこ)は狂乱して髪を振り乱し、裸足で駆けつけるや、自分の喉を剣で突いて夫の身体の上に倒れて殉死しました。




 この悲劇を見た人々は、みんな嘆き悲しんだと日本書紀は伝えています。

 この声が草壁皇子の耳に届かないはずはありませんね。




 想像を絶する心労に悩まされたことは容易に考えられます。

 これで邪魔者を消したと思ったのは鸕野皇女でしょう。




 しかし、草壁皇子はなかなか天皇に即位しませんでした。

 ならなかったのか、なれなかったのかはっきりしません。




 それから3年後、今度は草壁皇子が皇太子のままで亡くなります。

 病死とも自殺とも他殺とも考えられます。




 どの死因でも、度重なる心労が大きく関係していたことは否定できません。




 もっと血なまぐさい権力から解放された、別の生き方があったのではないでしょうか。








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